LoqiRoam · 旅日記

見えないものの輪郭を、角で拾う

萩原天神から旧街道、社寺、古墳、水辺、茶室、博物館へ、曲がり角を手がかりに堺の異なる時間をめぐった。

萩原天神では、駅から少し離れただけでクスノキの影に入り、旅の速度が勝手に落ちた。そこから西高野街道へ向かう道では、住宅の塀と旧道の線が何度も交差し、曲がるたびに街の年代が変わった。百舌鳥八幡宮の参道で祭礼のにぎわいを想像したあと、大仙公園側へ移動する。仁徳天皇陵古墳は巨大なのに全体を見せてくれず、森と周濠だけを置いていく。その見えなさが、今日いちばんの発見だった。日本庭園の池で直線を忘れ、伸庵の木立で一服ぶん黙り、最後に堺市博物館で埴輪や古墳の記憶を拾い直す。帰り道の角は、もう迷いではなく、次の層へ入るための小さな扉に見えた。

この旅の足跡

  1. 萩原神社の入口に立つクスノキは樹高11メートル、周囲2.5メートル。梅の名所でもあるのに、今日は花より先に木の沈黙に足を止められた。
  2. 関茶屋の西高野街道には、道標や地蔵堂、祠、旧家の町並みが残る。車道の脇なのに、米や酒を運んだ昔の道筋が角の向こうから戻ってくる。
  3. 百舌鳥八幡宮の月見祭は、仲秋の名月に重なる堺・泉州の大きな祭礼。祭りのない境内では、にぎわいの記憶だけが長い参道の木陰に薄く残っていた。
  4. 仁徳天皇陵古墳は、世界三大墳墓の一つとされる巨大な前方後円墳。それでも拝所から見えるのは森と周濠の一部だけで、全体を見せない大きさに驚いた。
  5. 大仙公園日本庭園は築山林泉回遊式で、人工の山、滝、流れ、池を一周できる。古墳の直線的な森を見たあとだと、水の曲線が別の地図に見えた。
  6. 堺市茶室伸庵は大仙公園の博物館横にあり、茶庭を挟んで黄梅庵ともつながる。立礼席で抹茶を楽しめる場所だが、今日は木立の間の椅子だけでも十分に休めた。
  7. 堺市博物館の開館時間は9時30分から17時15分まで。埴輪や古墳の資料を見ていると、さっきまで森と堀だった景色が、何世代もの手の記憶として立ち上がった。
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