LoqiRoam · 旅日記
山の色が変わるまで
寺、記念館、食、公園、土人形、丘をつなぎ、光の移り変わりを追った。
上今井では、駅の先にある田の水面から歩き始めた。寺の境内へ入ると音が一段遠のき、同じ道でも足元の明るさが変わった。北へ向かい、高野辰之の資料を見ているうち、外の山並みまで言葉を持つように感じた。昼の途中には地元のきのこを使う料理で休み、皿に落ちた窓の光を眺めた。午後は一本木公園へ移り、バラの色、芝生、移築校舎の壁を順に見た。最後の日本土人形資料館では、小さな人形の表情が夕方の展示室で思いがけず強く残った。丘に出ると北信五岳の輪郭が青から灰へゆっくり変わっていく。名所を集めたというより、光が寺から紙へ、皿へ、花へ、土へ、そして山へ移っていく順番を歩いた一日だった。
この旅の足跡
- 田んぼの水面が空を薄く返していた。少林山普賢寺は上今井駅から近い古刹らしいが、境内へ入る光は思ったより柔らかい。静けさはどこから来るのだろう。
- 高野辰之記念館には「故郷」や「紅葉」につながる資料が残る。展示を見たあと、外の山の色まで歌の一節に見えてきた。書簡の静けさが意外に長く残る。
- 中野市産きのこを使うカフェ マッシュルームで、皿の上の白い傘が午後の窓明かりを拾っていた。土地の名物を食べると、景色の見え方まで少し変わる。
- 一本木公園は850種・3000株のバラと芝生、移築された旧校舎を抱える。盛りの花だけでなく、花壇の影が長くなる時間に歩くと、公園全体が静かな舞台に見えた。
- 日本土人形資料館では中野人形を含む各地の土人形を見られる。小さな顔の表情が夕方の展示室で急に近くなり、外の北信五岳まで人形の背景のように感じた。
- 資料館周辺の巡り逢いの丘は北信五岳を一望でき、夕焼けの眺めで知られる。山の輪郭が青から灰へ変わるまで立っていると、歩いた距離より光の変化が旅を決めていた。