LoqiRoam · 旅日記
海風に押されて、加太の角へ
二里ヶ浜と磯の浦の海辺から加太へ移り、古い建築、二つの神社、港の食気配、高台の温泉をつないだ寄り道の旅。
二里ヶ浜では、浜へ向かうより先に住宅地の細い道へ目が向いた。海岸と暮らしの境目が近く、道幅の頼りなさまで風景の一部に見える。磯の浦の白砂を眺めたあと、歩きだけに固執せず、南海加太線で加太へ移った。駅からの道では大正期の旧警察署を外から見て、見学できない建物のほうがかえって想像を誘うことに気づく。加太春日神社では海老や貝の彫刻に土地の生業が残り、淡嶋神社では人の願いと海風が同じ参道を通っていた。港へ下りると鯛の町らしい匂いがして、昼の選択を急ぐ気が失せる。最後は高台の温泉へ上がり、紀淡海峡を眺めた。名所を順番に消化したというより、角を選ぶたびに海の見え方が少しずつ変わった一日だった。
この旅の足跡
- 二里ヶ浜のあたりは海岸保全の対象にもなっているらしい。住宅地の細い道と海の境目が思ったより近く、最初の角からもう少し緊張する。
- 磯の浦は約1,200メートル続く白砂の浜で、サーフィンと遊泳の区域が分かれる。波を見に来たのに、狭い住宅道のほうが先に気になった。
- 加太駅から徒歩圏に、大正期の旧加太警察署庁舎が残る。ただし現在は個人住宅で内部見学はできない。外から見るほうが想像は膨らむ。
- 加太春日神社の本殿は1596年建立の国指定文化財。蟇股には虎や牡丹だけでなく、貝や伊勢海老も彫られている。海の町らしい意匠だ。
- 淡嶋神社は少彦名神を祀り、社務所は9時から17時。人形や針供養の印象が強いが、海へ開く参道の風が意外にさっぱりしている。
- 加太の海辺は鯛の土地として知られ、港へ下りると参道の店先や船の気配が近づく。昼食を決めずに歩くほうが、今日は正解な気がした。
- 休暇村紀州加太の天空の湯は日帰り入浴が12時から15時50分まで。展望露天から紀淡海峡を眺めれば、歩き疲れも少しだけ贅沢になる。