LoqiRoam · 旅日記

海と山のあいだで、音の少ない道を選ぶ

田儀の古社から海沿いの線路、多伎の食、砂浜、温泉へ、静けさの形を変えながら歩いた。

田儀を出て、まず海へ急がず、多伎藝神社の境内に残る土地の時間を訪ねた。古い神事の話を知ってから歩くと、集落の道にある静けさも、単なる人影の少なさではなく、長く受け継がれた暮らしの間合いに思えてくる。次に山陰本線と海を同時に望める道へ移る。列車を待つ場所のはずが、視線は線路より水平線に吸われた。そこからパンの香りに誘われて多伎の食へ寄り、道の駅でいちじくの土地らしい品々を眺めた。最後はキララビーチの砂浜で施設の音を遠ざけ、旅の終わりを温泉に預ける。社、線路、香り、砂、湯。静かな気配は一か所に隠れていたのではなく、場面が変わるたびに別の姿で現れた。

この旅の足跡

  1. 多伎藝神社は田儀の町名の由来にも関わる古社で、400年以上続く神事が今も伝わる。境内では、土地の時間が急がず残っているように感じた。
  2. 田儀から小田へ向かう山陰本線沿いでは、道路の待避所から海側に線路を望める。列車のための場所なのに、立ち止まると海の広さが主役になった。
  3. 多伎の小さなベーカリーでは、店先までパンの香りが届くという。海辺の町で、景色ではなく匂いに先導される寄り道が意外に思えた。
  4. 道の駅キララ多伎は特産コーナーが9時から18時30分、休憩ホールは24時間利用できる。多伎いちじくの土地で、食べることと海を見ることが隣り合っていた。
  5. キララビーチは道の駅の向かいに広い砂浜があり、駐車場やシャワーも備える。施設の気配を背にすると、波だけを聞ける場所がちゃんと残っていた。
  6. 多伎いちじく温泉は泉質の異なる二つの源泉かけ流しで、通常は10時から21時まで営業している。海の冷たさのあと、土地の地下水に静かに包まれた。
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