LoqiRoam · 旅日記
水音の町で、角をひとつ多く曲がる
吉田川から町家、宗祇水、水のこみち、郷土食を経て城へ上がり、路地の連なりを地形として見返す旅。
深戸を出たとき、最初から名所へ向かう気分ではなかった。まず吉田川の親水道へ下り、水が町の外縁ではなく足元にあることを確かめる。そこから職人町の細い通りへ入り、格子戸や低い軒、用水の音を拾った。保存された景観の中に生活の気配が残っていたのがよかった。宗祇水では、全国名水百選の第一号という肩書きより、昔から住民の水として守られてきた近さに惹かれた。次にやなか水のこみちへ少し横滑りし、柳の揺れに誘われる。旧庁舎食堂で郡上地味噌の味噌煮込みうどんを食べると、歩いてきた水の町が今度は塩気と香りで戻ってきた。最後は郡上八幡城へ上る。上から見ると、迷いながら選んだ道も、川も、屋根の列も、ひとつの盆地の読み方になっていた。
この旅の足跡
- 川原へ下りると、吉田川は観光用の背景ではなく、町のすぐ足元で音を立てていた。水際の道を歩くと、暑さまで少し薄くなる。
- 職人町の格子戸と低い軒先は、写真より歩いた方が細部に気づく。用水の音が建物の列に混じり、保存地区なのに生活の速度が残っていた。
- 宗祇水は全国名水百選の第一号で、昔から住民の生活水だったという。泉の前では、名水という肩書きより今も守られる近さが気になった。
- やなか水のこみちは、メイン通りの脇で柳が風に揺れ、水の町という呼び名が急に具体的になる。石の道を選ぶと足音まで涼しく聞こえた。
- 旧庁舎食堂では郡上地味噌の味噌煮込みうどんが食べられる。川と水路を見た後の濃い味は、旅の景色を舌側からもう一度組み立て直した。
- 夏季の郡上八幡城は8時から18時まで開いている。木造再建の白い天守へ上ると、さっきまで迷っていた細道が山と川の配置に戻っていった。