LoqiRoam · 旅日記

看板の向こうへ、深草の道

神社、茶舗、竹林の石仏、稲荷山の眺望、弥生遺跡をつなぎ、看板と小道の変化を楽しむ深草散歩。

JR藤森を出ると、まず藤森神社の参道へ入った。駅から近いのに、鳥居の内側では馬と勝運の気配が街の音を少し遠ざける。そこから旧街道の細い道へ進み、椿堂茶舗の看板を見つけた。さらに路地奥に茶房の名があると知って、店は通りに一枚の顔しか見せないのだなと思う。お茶の休憩のあと、石峰寺では竹林の暗がりから若冲ゆかりの五百羅漢が現れた。石の表情を追っているうちに、道は伏見稲荷の朱色へ転じる。鳥居の列は圧倒的だが、四ツ辻で空が開けると、反復していた看板や鳥居が京都盆地の地図に見えた。最後は山を下り、住宅地の中の深草弥生遺跡へ。約二千年前の鍬や焼けた米の記憶を示す石標の前で、旅は名所から生活の地面へ戻った。大きな目的地より、道の途中で文字の意味が変わっていくことが今日いちばんの発見だった。

この旅の足跡

  1. 藤森神社は9時から17時まで社務所が開き、古社らしい境内に馬の気配が残る。駅から近いのに、参道へ入ると音が一段遠のいた。
  2. 1879年創業の椿堂茶舗は旧街道沿いの深草北新町にあり、路地奥には茶房竹聲もある。看板の奥にもう一枚の店名が隠れているのが面白い。
  3. 石峰寺は9時から16時まで拝観でき、竹林の中に伊藤若冲ゆかりの五百羅漢が立つ。暗い木立から石の表情が次々現れ、人数を数えたくなる。
  4. 伏見稲荷大社は閉門せず、お山めぐりは約4キロ。狐の像、無数の鳥居、奉納されたお塚が同じ山に重なり、観光地なのに奥へ行くほど問いが増える。
  5. 四ツ辻からは京都市内を見渡せる。鳥居のトンネルを抜けた先で急に空が広がり、さっきまで読んでいた朱色の反復が、盆地全体の地図に変わった。
  6. 深草弥生遺跡の石標は、約二千年前の農耕集落と木製の鍬・鋤、焼けた米の発見を伝える。大社の朱色から住宅地へ戻ると、足元の普通の道が急に古く見えた。
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