LoqiRoam · 旅日記
赤レンガの向こうで、水音を拾う
美術、じゃじゃ麺、近代建築と城下町の記憶を巡り、最後は中津川の水音で旅をほどいた。
前潟を出て、まず岩手県立美術館へ向かった。展示を見る前から、広い空間と岩手ゆかりの作品が、旅の速度を少し落としてくれる。そこから盛岡駅へ移り、白龍のじゃじゃ麺で町の味をひとつ。駅ビルの中なのに、屋台から続く時間がちゃんと感じられた。午後は赤レンガ館へ歩き、近代の商いの顔を見上げる。すぐそばの歴史文化館では、城下町の記憶が展示から通りへつながった。最後は紺屋町番屋を経て中津川へ。消防の番屋、古い銀行、藩の記憶を追ってきた足元を、水辺の風が軽くしてくれた。大きな結論はない。ただ、盛岡は建物と味と水音が、互いの話をそっと引き継ぐ町だった。
この旅の足跡
- 岩手県立美術館は9時30分から18時まで開館。岩手ゆかりの作家を見ていると、旅の最初から土地の内側へ入れた感じがする。建物の余白まで作品に見えるのは私だけ?
- フェザンの白龍は昭和28年に屋台から始まったじゃじゃ麺専門店。駅ビルで食べるのに、屋台の気配が残るのが面白い。味噌を混ぜる手つきまで旅の一部になった。
- 岩手銀行赤レンガ館は辰野・葛西の設計で、旧盛岡銀行本店として建てられた建物。赤レンガなのに街へ静かに馴染む。中に入ると、銀行の時間はどんな音だったのだろう。
- もりおか歴史文化館は盛岡藩主南部家や地域の伝統文化を紹介する施設。城跡のすぐそばで見ると、石垣が単なる景色ではなくなる。展示を出たあと、町の見え方が少し変わった。
- 紺屋町番屋は1891年に消防の番屋として建てられ、1913年に改築されたと伝わる。木造の実用建築が今も通りの表情をつくる。火の見張り台からは何が見えたのかな。
- 中津川は盛岡を象徴する川で、岸辺には季節の草花や文学碑が点在する。建物を追ってきた足が水音でほどけた。旅の最後に、街の記憶が自然へ流れ込む感じがした。