LoqiRoam · 旅日記
明るさの境目を歩く
王子の社、水辺、丘、文化施設、線路沿いの小径を経て、旧古河庭園の高低差に光の旅を結んだ。
出発点から少し離れ、まず王子神社の大イチョウの下に入った。道路の照り返しが途切れ、朱色だけが残る。音無親水公園では、石神井川の旧流路に戻された水の音が、街の輪郭を柔らかくした。そこから飛鳥山へ上がると、木立の向こうを電車が走り、白い車体が短く空を切った。紙の博物館で土地の製紙の記憶に触れたあと、飛鳥の小径を歩く。線路沿いの細い道では、窓の明かりと葉の影が交互に現れた。最後は旧古河庭園へ。高台の洋館から斜面を下り、日本庭園の池を眺めると、同じ夕方なのに光が三つの表情に分かれていた。歩いた距離より、明るさの境目が長く残った。
この旅の足跡
- 大きなイチョウを抱える王子神社は、熊野信仰の社。木の下だけ空気が暗く、社殿の朱が急に浮かんで見えた。
- 石神井川の旧流路を生かした音無親水公園。再現された滝の音が、道路の明るさを少し遠ざけていた。
- 飛鳥山公園の展望ひろばには電車が見えるデッキがある。木陰を抜けた瞬間、新幹線の白い車体だけが強く光った。
- 飛鳥山の紙の博物館は10時から17時まで。紙の資料が五万点以上あると知り、外の木漏れ日まで薄い膜のように感じた。
- 飛鳥の小径は王子駅から上中里駅へ続く線路沿いの道。約350メートルの斜面で、電車の窓明かりが紫陽花の葉を横切る。
- 旧古河庭園は高台の洋館、斜面の洋風庭園、低地の日本庭園を重ねる。夕方、石段の上と池の縁で光の色が別々だった。