LoqiRoam · 旅日記

橋を渡ったあと、茶畑で迷う

塩郷の吊橋から茶の現場、徳山の生活道、千頭の音、寸又峡の深い歩道へ。景色を集めるより、道の曲がり方で旅の気分を変えた。

塩郷では、吊橋が川だけでなく県道と線路まで一息にまたいでいた。橋の上で立ち止まると、歩く場所というより、土地の断面を空中から読む場所に思えてくる。そこから公共交通で徳山へ移り、川根茶の歴史を茶茗舘で眺め、さらに茶畑と製茶工場のある山香荘茶園へ寄った。知識を飲み物に戻すような寄り道だった。桜並木では名所の華やかさより、学校や沢に沿う細い道の生活感が気になった。千頭では音戯の郷で耳を休ませ、最後は寸又峡へ。夢の吊橋の青さより、急な階段を上って戻る時間のほうが、旅を自分の足に引き戻してくれた。予定通りだったのは出発だけで、あとは曲がるたびに少しずつ別の旅になった。

この旅の足跡

  1. 全長220メートルの吊橋が、川だけでなく県道と大井川鐵道の線路までまたいでいた。足元をSLが通る想像に、橋の揺れが急に生き物めいて感じられる。
  2. 木造の茶茗舘で、川根茶の歴史や道具を見たあと庭を眺めて一服できる。茶の味より先に、展示と景色が同じ時間を作っていることに驚いた。
  3. 山香荘茶園は茶畑だけでなく製茶工場も見学でき、古民家の縁側で川根茶を飲める。茶葉が商品になる前の時間を覗けるのが妙に贅沢だ。
  4. 徳山のしだれ桜は川根高校沿いに約50本が並ぶ穴場の桜道。花の季節でなくても、学校と沢に沿う細い道を歩くと集落の生活感が残っている。
  5. 千頭駅の横にある音戯の郷は、音をテーマにした体験型ミュージアム。山の静けさの中で音を探すと、列車の気配まで展示の一部に聞こえてくる。
  6. 夢の吊橋は温泉街から約30分歩き、急な階段を含む約90分の周遊になる。青い水面だけを期待したのに、戻るための上り道こそ強く記憶に残りそうだ。
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