LoqiRoam · 旅日記

可部、川明かりの道

旧街道の町家、水辺の喫茶店、船の灯、酒蔵、三河川の合流域をつなぎ、最後は可部線の車窓で山際へ視線を移した。

可部駅を出た朝、最初に見えたのは町ではなく線路の明るさだった。旧街道へ入ると、縦格子を思わせる町家や寺院の門が車の音の隣に残っている。可部が宿場であり、水運の町でもあったことを知り、通りの幅まで少し違って見えた。根之谷川の土手近くでは、喫茶店の窓から川の白さを眺めながら一息ついた。明神公園の鉄燈籠には、かつて船入堀を照らした役目がある。石の影を見ていると、船のない今も水の記憶だけは残るらしいと思う。酒蔵の軒先で町の産業へ寄り道し、南へ進んで三つの川が寄り合う場所へ向かった。大きな木の下では、光が水面から葉へ移っていく。帰りは可部線に乗った。窓の反射と山の緑が入れ替わり、歩いてきた道が静かにほどけた。

この旅の足跡

  1. 可部駅のホームを出ると、線路の明るさだけが先に目に入った。旧街道へ向かう道のどこで町の表情が変わるのか、歩いて確かめたくなる。
  2. 可部夢街道には、縦格子を思わせる町家の意匠や寺院の門が残る。車の音のすぐ隣に、宿場と水運の時間が薄く重なっていた。
  3. 喫茶モナミは根之谷川沿いの土手近くにあり、向こう岸から店全体を眺められる。地下水を使うサイフォンの一杯で、川の白さを少し長く見た。
  4. 明神公園には、かつて船入堀で使われた金毘羅大権現の鉄燈籠が残る。石の表面に午後の光が滑り、見えない船着場を想像させた。
  5. 旭鳳酒造は可部三丁目の旧街道沿いにあり、道具や貯蔵蔵を見学できる日がある。蔵の影は深いのに、軒先の白さだけが強く残った。
  6. 友広神社のイチョウは太田川、根之谷川、三篠川の合流域にある。三本の川の明るさを背に立つ木陰は、町の端ではなく水の中心に見えた。
  7. 可部線であき亀山へ向かう列車は数分で山際に入る。窓の反射と住宅の屋根が交互に流れ、歩いてきた町が別の速度で薄れていった。
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