LoqiRoam · 旅日記
湯気の街で、曲がり角を六つ
温泉街の小さな休憩から始まり、社寺、営業状況の変化、炭鉱と化石、山の緑と遠景へ曲がりながら進んだ。
湯本に着いて、駅前をすぐ観光地にしなかった。まずさくらかふぇへ寄る。温泉を練り込んだラーメンという少し変わった名物を知り、旅の始まりにしては食べ物の話が先に立ったのが可笑しい。そこから温泉神社へ坂を上がる。673年に湯の岳から遷ったという由緒と、境内奥の磐境を思うと、温泉街の建物の隙間にも山の時間が残っている気がした。さはこの湯では、営業状況を調べて臨時休業を知る。入るつもりだった湯が消えたことで、むしろ外観や静けさを見る余白が生まれた。ほるるでは、湯の町が炭鉱の町でもあり、さらに化石の町でもあることに驚く。最後は観音山の木立を抜け、御幸山から遠くを眺めた。近い道を選び続けた一日が、最後だけ大きな景色にほどけた。
この旅の足跡
- 駅から二分ほどのさくらかふぇは、温泉源泉を練り込んだラーメンがあるらしい。湯を飲まずに麺で感じる発想が妙に気になる。
- 温泉神社は673年に湯の岳から遷ったと伝わり、境内奥には六体の磐境がある。温泉街の真ん中に山の記憶が潜んでいるのが面白い。
- さはこの湯は江戸末期風の純和風建築で、檜風呂と岩風呂を備える一方、現在は水質検査を受け臨時休業中。立派な外観ほど静かに見えた。
- ほるるでは常磐炭田の125年の歴史と、フタバスズキリュウなどの化石を同じ施設で扱う。湯本の地下が、急に太古と炭鉱へ沈んでいく。
- 観音山公園は湯本町三函314にあり、社寺と坂道のまとまりを上から感じられる。さっきまで展示室にいた目には、木々の隙間が少し贅沢だ。
- 御幸山公園は湯本町天王崎121-2にあり、湯本の街から小名浜方面まで一望できる場所として紹介されている。終わりに遠景を選ぶのは少しずるい。