LoqiRoam · 旅日記
光の行き先を探す
田園の明るさから社寺の陰影、川面、山の庭園、終着駅の長い影へと移る散歩。
井関を出ると、田の明るさは思ったより平らだった。井生白山比咩神社の山際で光が細くなり、真光寺の門前では白い壁の反射まで静かになった。そこから雲出川へ出ると、景色は横にほどけた。水面と草の上を風が移り、歩く方向が少しだけ軽くなる。名松線で山側へ移ると、同じ昼の光が杉の間では冷たく見えた。北畠氏館跡庭園では石と苔の隙間に明るさが散り、整った景色よりも、崩れかけた境目に惹かれた。最後に伊勢奥津駅の給水塔へ向かう。線路脇の古い塔は、過ぎた時間を説明せず、長い影だけをホームに置いていた。出発点で見た空と同じ空なのに、帰りには光の重さが少し違っていた。
この旅の足跡
- 井生白山比咩神社は一志町井生の山際にあり、社殿へ差す光が木の間で細くなる。遠くから見えた屋根が近づくほど隠れるのが不思議だった。
- 真光寺は一志町井生にある天台真盛宗の寺。門前の静けさに立つと、白い壁の反射が急に弱まり、さっきまでの空の明るさが遠く感じられた。
- 井関から雲出川へ出ると、田の上の光が水面で一度だけほどける。河川敷は野鳥も訪れる緑地だというが、鳥より先に風の筋が見えた。
- 川口白山比咩神社は白山町川口7120にあり、伊勢川口駅から歩ける山際の社。杉の間から漏れる光は、川辺の反射よりずっと冷たく見えた。
- 北畠氏館跡庭園は室町期の庭園で、9時から17時まで開園。野性的な石と苔の間に光が細かく分かれ、整いすぎない美しさに足が止まった。
- 伊勢奥津駅の給水塔は昭和10年の鉄筋コンクリート造で、高さ8.5メートル。終着の線路脇に立つ塔の影が、夕方のホームを静かに横切っていた。