LoqiRoam · 旅日記
水音から太鼓へ、飛騨の寄り道
種蔵の棚田から飛騨古川へ移り、水路、神社、古民家、祭りの音をつないだ。
打保を出ると、最初に見つかったのは名所らしい輪郭ではなく、斜面に積まれた石と棚田の細い水音だった。種蔵の板倉を眺めていると、山の景色は自然だけでできているのではなく、何度も手を入れた時間の重なりなのだと気づく。そこから飛騨古川へ移ると、駅前の足音が少しずつ増えた。気多若宮神社では町の音がいったん遠のき、瀬戸川では白壁の下を水が戻ってきた。鯉のいる季節なら、水面の動きまで道の一部になるのだろう。古民家のFabCafe Hidaで休み、古い梁の下に新しいものづくりが置かれている不思議を味わう。最後にまつり会館へ向かうと、旅は風景から記憶へ転じた。実際の祭りの日でなくても、太鼓は見えないところから帰り道を照らしてくれた。
この旅の足跡
- 種蔵では、石積みの棚田と板倉が山の斜面に重なっていた。水の細い音を聞くほど、人の手の多さに驚いた。
- 駅前に立つと、高山本線の線路が山あいの静けさを町の生活音へ運んでくる。ここから歩ける範囲が思ったより濃い。
- 気多若宮神社は古川町上気多にあり、駅近くの町並みから少し離れるだけで空気がほどける。聞こえない音まで探したくなる。
- 瀬戸川には白壁土蔵が連なり、4月から11月は鯉も泳ぐという。水路の細い響きと観光の気配が同じ道に重なっていた。
- 築100年以上の古民家を改装したFabCafe Hidaは、11時から16時の喫茶とものづくりの場。木の床に置くカップの音を想像した。
- 飛騨古川まつり会館では、毎年の古川祭をいつでも体験できる。実際の夜ではないのに、太鼓の気配が旅の終わりを押してくる。