LoqiRoam · 旅日記

水音の向こうへ、越後の寄り道

越後川口から小千谷、山古志へ。暮らしの棚、信濃川、へぎそば、錦鯉、豪商の館、棚田を音のつながりでたどった。

越後川口駅を出たとき、予定表のない白紙のような気分だった。まずあぐりの里で、野菜や手づくりの加工品が並ぶ棚を眺める。旅先の入口は名所ではなく、誰かの台所なのかもしれない。そこから信濃川河川公園へ回ると、広い河原を風が低く渡っていた。川は姿より先に音で近づいてくる。小千谷では、布海苔をつないだへぎそばを一口ずつ味わい、錦鯉の里で水面の影を追った。泳ぐ宝石という言葉より、池に落ちる静けさのほうが印象に残った。西脇邸では、縮や蚕糸を背景に町を育てた商家の時間に触れる。最後は山古志へ。棚田と棚池が山の斜面に重なり、町で見た手仕事が風景そのものになっていた。帰りは、遠くの鳥の声と道を走る車の音を交互に聞きながら、旅は場所を集めることではなく、音のつながりを見つけることなのだと思った。

この旅の足跡

  1. あぐりの里では地元のお母さんたちの加工品や焼きたてパンが並ぶという。駅前より先に、暮らしの手触りへ誘われたのが意外だった。
  2. 信濃川河川公園は野球場や多目的グラウンドを備えた広い河原。水は見えない場所でも、風が低く流れていて、川は音で存在を知らせるのだと思った。
  3. わたや本店のへぎそばは布海苔をつなぎに使い、一口ずつへぎに盛る。つるりとした麺が想像以上に軽く、雪国の工夫が舌に残った。
  4. 錦鯉の里には日本庭園の池や館内の鑑賞池があり、約200尾の錦鯉を間近に見られる。泳ぐ影の静けさに、さっきの麺の余韻まで沈んだ。
  5. 西脇邸は登録有形文化財の豪商の館で、小千谷の縮や蚕糸、麻真田を背景に栄えた家の記憶が残る。庭の静けさが商いの往来を逆に想像させた。
  6. 山古志では棚田と棚池が谷底から山腹へ階段のように連なる。道は冬季に通れないこともあるという注意を胸に、遠くの鳥と風だけを終着の音にした。
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