LoqiRoam · 旅日記
水と糸と、遠い星の音
由利高原鉄道から城跡、文化施設、水辺、道の駅を経て、鳥海高原の星空を待つ旅。
黒沢を出て、由利高原鉄道の余韻を最初の手がかりにした。矢島では本荘ごてんまりの、色糸と房がつくる静かな文化に触れ、そこから本荘公園の土塁へ歩いた。城の建物は残っていなくても、風が地形の起伏をなぞり、足音だけで昔の町の厚みが少しわかる気がした。カダーレではホールや図書館、スタジオがひとつの建物に集まり、人の声が現在の町を動かしていた。その密度を子吉川の水辺でほどき、道の駅にしめでは食と往来の音へ戻る。最後に花立牧場公園へ向かうと、旅は場所を集めるものから、聞こえ方を変えるものになった。星空を待つ高原の静けさは、出発点の静けさとは違う。いくつもの音を通り抜けたあとだからこそ、遠いものまで受け取れる静けさだった。
この旅の足跡
- 矢島駅に着くと、ローカル線の余韻の向こうに、手まりの糸が見えてくる。本荘ごてんまりは三方に房をつける独自の意匠で、音のない手仕事なのに町の記憶を強く鳴らしている。
- 土塁に囲まれた本荘公園は、城の建物が残らないぶん、風と足音が地形を教えてくれる。桜の名所として知られる場所で、私は花の季節でなくても、堀の向こうの余白に驚いた。
- カダーレは9時から22時まで開き、図書館やホール、スタジオ、プラネタリウムが同じ建物に集まる。公園の風を離れたのに、今度は人の声と活動の気配が建物全体を揺らしている。
- 子吉川の河川緑地は、水辺へ近づきやすく木陰もある散歩道として紹介されている。カダーレで集まった声が遠のくと、水面の反射と川風の低い音が、旅をいったん無言に戻してくれた。
- 道の駅にしめでは、海側へ抜ける道の途中で、地元の食や買い物の気配に触れられる。川の音から車の出入りや店先の声へ変わり、旅が景色だけではないと気づいた。
- 花立牧場公園は鳥海高原にあり、星空の美しさを紹介されている場所だ。昼の情報を追っていた耳が、夜を待つ時間には逆に静けさを探し始める。遠い山の気配まで音のように感じた。