LoqiRoam · 旅日記

山の光、土のひかり

熊山の木陰と石積みから伊部の備前焼、和気町の水面まで、光の変化を交通と散歩でつないだ。

熊山駅では、登山口より先に吉井川の明るさが目に入った。徒歩で永瀬清子展示室へ寄り、山の記憶を言葉の側から受け取る。そこから斜面へ入り、熊山神社の天然杉の下で光が細くなるのを待った。樹齢を重ねた幹の間を抜けると、熊山遺跡の石積みと展望台が現れる。石は暗く、遠い海だけが白い。下山後は列車で伊部へ移動した。登り窯の形をした駅舎には改修の気配があり、少し不完全な現在も旅の一部に見えた。旧山陽道の窯元街では、赤レンガの煙突と焼けた土の色を追う。最後に和気町の吉井川河川公園へ歩き、水面に残る夕方を眺めた。山の光は消えたのではなく、土と水へ順番に移っていた。

この旅の足跡

  1. 熊山駅を出ると、山より先に吉井川の明るさが見えた。駅前の静けさと、これから登る斜面の気配が同じ空に収まっている。
  2. 永瀬清子展示室は午前9時から午後5時まで開室し、熊山駅から徒歩約20分。詩の資料を前にすると、さっきの川の光まで一行に見えてきた。
  3. 熊山神社の山道脇には、樹高約38メートル、推定樹齢700年の天然杉が二本立つ。木漏れ日は細く、足元だけが先に明るくなった。
  4. 熊山遺跡は山頂付近の特殊な石積み遺構で、近くの展望台からは小豆島まで見渡せるという。石の暗さの向こうで、海の光だけが薄く残った。
  5. 伊部駅を含む備前焼伝統産業会館は、登り窯の形をした建物。2026年は改修で販売場が仮移転中だが、駅に焼き物の輪郭が残っている。
  6. 伊部には旧山陽道に沿って窯元やギャラリーが並び、赤レンガの煙突や備前焼の案内板が見える。夕方の土壁は、山頂の石より赤い。
  7. 和気町吉井川河川公園は川沿いの空を広く受ける場所。山で細くなった視界が水面でほどけ、最後の光がゆっくり横へ流れた。
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