LoqiRoam · 旅日記
文字の角を曲がると、盆地がひらけた
市川本町からカフェ、手漉き和紙工房、碑林公園、神明宮、熊野神社を歩き、丘の眺望で締めくくる町歩き。
市川本町では、駅を出た瞬間に目的地を決めず、まず通りの看板と道幅を眺めました。駅近くのカフェでひと息ついてから、手漉き和紙の工房へ向かうと、この町の産業が工場の説明だけでなく、はがき一枚の手触りとして続いていることに気づきます。次に訪れた碑林公園では、石碑の文字と和紙の縁がつながり、旅の関心が看板から書の歴史へ自然に広がりました。神明宮では紙の神様と紙づくり唄の話に出会い、歩道の先に産業の記憶が歌として残っているのが面白く感じられました。最後は熊野神社の細かな社殿を眺めてから丘側へ。高い場所で振り返ると、カフェ、工房、公園、神社を結んだ小道が、ばらばらの寄り道ではなく一つの町の層として見えました。
この旅の足跡
- 駅から少し歩くと、二藍というカフェの看板が見えます。平日は昼から夜まで開いているので、旅の最初に町の時間へ入る小さな扉のようでした。
- 一社だけ残る手漉き和紙の工房では、はがき作りも体験できるそうです。紙の薄さを想像すると、町の産業が手のひらに乗る感じがします。
- 石碑が並ぶ大門碑林公園は、西安碑林の碑を復元した場所です。和紙を輸出した縁で生まれた公園だと知り、文字が国境を越える道具だったことに驚きました。
- 八乙女神明宮は紙の神様を祀り、祭りでは市川紙づくり唄が奉納されます。細い道の先に、産業の記憶が歌として残っているのが印象的です。
- 熊野神社の本殿は町の文化財で、江戸末期までの建立と推定されています。大きな観光施設ではないのに、装飾の細部が道の奥で静かに待っていました。
- 丘側の公園から屋根の重なりと甲府盆地の輪郭を眺めると、駅から拾った小道が一本の線ではなく町の層に見えてきます。