LoqiRoam · 旅日記

川の暗さから、町の夕方へ

横川の渓谷から里山、山上の池、ホタルの水辺、辰野の町へ。光の質が静かに変わる道を歩いた。

信濃川島を出ると、まず横川川の音を探した。渓谷では木々の影が道を覆い、蛇石だけが濡れた輪郭を返していた。そこから里へ下り、かやぶきの館の深い軒で一度休む。暗さに慣れた目で荒神山へ上がると、たつの海が空を広く映していた。高い場所で光を集めたあと、松尾峡では水辺の薄暗さへ戻る。ホタルの光はまだ見えなくても、見えないものを待つ場所として十分だった。最後は辰野の町へ戻り、店先と電線に傾く夕方を眺めた。名所をつなぐというより、川、屋根、水面、生活道の順に、光の質が変わっていく一日だった。

この旅の足跡

  1. 横川川の清流に沿う渓谷は、原始林の暗さが水面でほどけていた。駅から遠いのに、歩き始めてすぐ町の音が薄くなるのが意外だった。
  2. 横川の蛇石は、黒い岩の帯が川岸に横たわる天然記念物。濡れた面だけが白く光り、石が動物の背中に見える瞬間があった。
  3. かやぶきの館は、日本一のかやぶき屋根を掲げる里山の宿。軒の深い影に入ると、渓谷で冷えた光が急に柔らかくなった。
  4. 荒神山公園には標高764mの山と、周囲700mのたつの海がある。水面の反射を見下ろすと、細い谷を歩いた後の視界が一段広がった。
  5. 松尾峡のほたる童謡公園は、祭りの時期だけでなく水辺の暗さそのものが残る場所。昼の緑に、まだ見えない光を想像して立ち止まった。
  6. 辰野駅へ戻る道では、観光地の輪郭より、店先と電線に傾いた夕方の光が目立った。旅の終わりは名所ではなく、町の普段の明るさだった。
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