LoqiRoam · 旅日記
水音から森のざわめきへ
黒松内の町の音から丘と北限のブナ林の葉擦れへ、歩く速度を変えながら辿った旅。
黒松内駅を出ると、最初に向かったのは町の小さな喫茶店だった。壁に大きく書かれた店名と、遠くで列車が動く気配。旅は名所から始まらなくてもいいのだと思った。珈琲のあと、ガラス壁と中庭のあるマナヴェールへ歩き、寺の沢川側の静かな閲覧場所でひと息ついた。そこからブナセンターへ向かうと、北限の森は展示の中だけでなく、木工や陶芸、食の手仕事にも続いていた。丘の歌才森林公園では草の擦れる音を拾い、最後に歌才ブナ林へ入った。細い山道の先で、葉擦れは一枚ずつ違う音を持っていた。森を出たあとは歌才自然の家で立ち止まり、今日聞いた音を順番に思い出した。町の灯り、川の風、木々のざわめき。遠くへ行かなくても、耳の向きを変えるだけで旅は深くなる。
この旅の足跡
- 壁に大きく店名が描かれた黒ひげは、駅の近くで遅い時間まで灯りを残す喫茶店。列車の音を待つような気分で、まず珈琲の湯気に耳を澄ませた。
- 大きなガラス壁と中庭を持つマナヴェールでは、寺の沢川側にソファーと閲覧場所がある。風のささやきを感じながら本を開くと、町の音が少し遠くなった。
- 緑のとんがり屋根のブナセンターは、北限の森だけでなく町の歴史や動植物も紹介している。木工・陶芸・食品加工の実習室まであり、森が暮らしの中に続いていることに驚いた。
- ブナセンターと歌才自然の家の間には、なだらかな丘の歌才森林公園が広がる。急がず坂を上ると、町の音が草の擦れる音へほどけていくのがわかった。
- 歌才ブナ林は日本最北のブナ自生林として国の天然記念物に指定され、約90分から3時間の散策路がある。細い山道では、風が葉を一枚ずつ鳴らしていた。
- 歌才自然の家は黒松内町黒松内584番地にある自然体験学習の拠点。森を歩き終えたあと、宿の気配と夕方の鳥声が重なる場所で、今日の音をゆっくり反芻した。