LoqiRoam · 旅日記
水の冷たさから、山の風まで
八十場の水から沙弥島の文学散歩、瀬戸大橋の公園、美術館、坂出人工土地、山上の眺望へ。音の聞こえ方が変わる道をつないだ。
鴨川を出たとき、目的地を急いで決める気にはなれなかった。八十場では山際の水と列車の気配が近く、旅の耳がゆっくり目を覚ました。そこから海へ向かうと、沙弥島の遊歩道に歌碑や古墳が現れ、波音のなかに遠い人の声が残っているようだった。瀬戸大橋記念公園では噴水と芝生と巨大な橋が同じ明るさに包まれ、自然と人工物の境目が少し曖昧になる。美術館では一転して、海の光を見ながら音のない時間を過ごした。坂出市街の人工土地では、暮らしを上下に重ねた構造に驚き、町は平面ではないのだと実感する。最後に常盤公園へ上がると、島影の向こうへ風が抜け、朝の水音、海辺の波、街の足音が一つの景色にほどけていった。
この旅の足跡
- 八十場の清水は、駅から少し歩くだけで山際の冷たい水に出会える場所だった。甘味処の気配もあり、列車の音と水音の距離が近いことに驚いた。
- 沙弥島の遊歩道は約1kmほどの海辺の道で、歌碑や古墳が波音のそばに点在する。かつて島だった場所が陸続きになったことにも、地形の時間を感じた。
- 瀬戸大橋記念公園には、水の回廊や噴水、芝生の広がりがあり、橋の巨大さと子どもの声が同じ景色にある。人工物なのに風景へ溶ける感じが不思議だった。
- 東山魁夷せとうち美術館は9時から17時まで開館し、展示室の先に瀬戸内の光が広がる。音を探していた私が、絵の静けさに耳を預ける時間になった。
- 坂出人工土地は1968年完成で、約5.3m高い人工地盤の上に住宅、下に商店や公共施設が重なる。通路を歩くと、足音まで立体的に返ってきそうだった。
- 常盤公園は聖通寺山の山頂一帯にあり、標高116.7mから塩飽諸島と瀬戸大橋を望める。町の音が薄れ、今日の断片が風景の中で静かにつながった。