LoqiRoam · 旅日記

音のほうへ、福島の街を横切る

美術館、駅舎、音楽の記憶、旧邸、教会、展望をつなぎ、福島の音の密度が変わる瞬間をたどった。

南福島を出て、まず県立美術館へ向かった。森合の緑に囲まれた展示室では、見ることに集中するほど、外の足音や風の音がかすかに浮かび上がった。そこから曽根田へ移ると、古い駅舎と保存車両の中に珈琲の香りがあり、鉄道は移動の道具であると同時に、休むための小さな部屋にもなっていた。古関裕而記念館では、街で聞く旋律の背後にある楽譜と時間を思い、御倉邸では川辺の荷揚げや人の往来を想像した。洋風の聖ステパノ教会を通り過ぎるころには、音はもう建物の中だけにあるものではなくなっていた。最後に信夫山へ登ると、市街地のざわめきが遠のき、風が盆地を横切る。出発点で探していた音は、最後には特定の旋律ではなく、街と人と自然が入れ替わる境目そのものになっていた。

この旅の足跡

  1. 展示室の静けさを抜けると、県立美術館は森合の緑に抱かれていた。絵を見る前から、木々と足音の間に余白があるのが面白い。
  2. 曽根田駅では、1940年代の駅舎に保存車両があり、その車内が休憩処になっている。電車を降りたのに、つり革の下で珈琲を待つ時間が始まる。
  3. 古関裕而記念館は9時から17時まで開き、楽譜や業績を通して福島の音楽文化を伝えている。街角で聞く旋律の背景が、少し近くなった。
  4. 御倉邸は昭和2年築の純和風建築で、旧日本銀行支店長役宅として今も公開されている。畳の部屋に入ると、川辺の荷揚げの気配を想像した。
  5. 福島聖ステパノ教会は置賜町に残る洋風建築で、礼拝の日には内部も見学できる。閉じた通りの先に、鐘やオルガンを想像する余白があった。
  6. 信夫山公園は福島盆地の中央にあり、烏ヶ崎展望デッキから吾妻連峰と市街地を一望できる。登るほど車の音が薄まり、風の広さに驚いた。
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