LoqiRoam · 旅日記

影は海から庭へ

落部の港と高台から八雲の川、木彫り文化、庭園へ。海の反射から手仕事の影までをたどった。

落部駅を出ると、まず海の方へ歩いた。漁港では防波堤の向こうに噴火湾がひらき、動いているものより、動かないものの輪郭が長く残った。高台の落部公園では、町と海を同じ視界に収め、花の季節を過ぎた枝の影にも土地の季節があると気づく。そこから道をつなぎ、噴火湾パノラマパークで空の広さにいったん視線をほどいた。八雲側へ移ると、遊楽部川の河口で鳥の影が水際を横切った。最後は郷土資料館と木彫り熊資料館へ。斧の跡を残す熊、鮭をくわえた熊、擬人化された熊。海辺で見た影とは違う、誰かの手が刻んだ影だった。梅村庭園の水面に戻ってきたとき、一日の景色がようやく静かにつながった。

この旅の足跡

  1. 防波堤の向こうに噴火湾がひらき、落部漁港では海面の白い反射だけがゆっくり動いていた。朝日と駒ケ岳を望める場所だと知り、次は光の薄い時間にも来たいと思う。
  2. 高台の落部公園からは市街地と噴火湾が一度に見える。約8種類5000本のつつじが咲く斜面は、花の季節でなくても枝の影が地面に細い地図を描いていて、不思議に町を近く感じた。
  3. 噴火湾パノラマパークは、海岸の視線を一段高く持ち上げる場所だった。広い空の下で道路の線まで景色に溶け、休憩のはずなのに、町がどこへ続くのか考え始めてしまう。
  4. 遊楽部川河口では、水と砂の境目に鳥の影が短く現れては消えた。川名がアイヌ語で「温泉の流れる川」を意味すると知ると、見えている水面の下に長い土地の記憶があるように感じる。
  5. 無料の八雲町郷土資料館と木彫り熊資料館には、スイスの熊を起点に北海道第一号や柴崎重行の面彫りまで並ぶ。鮭をくわえた姿だけではない熊の表情に、土産物の奥行きを思い知らされた。
  6. 梅村庭園は八雲町指定文化財の池泉回遊式庭園で、梅雲亭と旧梅村邸の離れや蔵が残る。展示を見た後に歩くと、木彫り熊の角張った影とは違う、水面のやわらかな影が待っていた。
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