LoqiRoam · 旅日記

轟音のあと、山の静けさへ

湖畔の道、つり橋、放水、ダムカレー、関電トンネル、黒部平の展望を音の変化でつないだ旅。

黒部湖のほとりから、湖畔遊歩道をゆっくり歩き始めた。林の向こうで水音が近づいたり遠のいたりし、カンパ谷のつり橋では足元の揺れまで景色の一部になった。やがて黒部ダムの観覧ステージに立つと、毎秒十トンを超える放水が白い霧になり、轟音が谷へほどけていく。音に圧倒されたあと、レストハウスで緑色の黒部ダムカレーを前にひと息つく。食器の小さな音が、さっきまでの大きな水音を身体の内側から静めてくれた。次に関電トンネルと電気バスの道へ進むと、黒部の景色は自然だけでなく、山を越えるための人の工夫によっても成り立っていると感じた。最後は黒部平の展望台で風に耳を澄ませた。出発地へ戻ったわけではないのに、湖の静けさが別の深さで残っていた。

この旅の足跡

  1. 黒部湖畔の遊歩道は高低差が少なく、湖を左手にブナやダケカンバの林を抜ける。水音が近づいたり遠のいたりする道に、景色が呼吸しているようで驚いた。
  2. カンパ谷のつり橋では、湖畔の道が一度細くなり、足元の揺れが水面の静けさに重なる。橋を渡るだけなのに、山の奥へ一歩入り込んだ感じがした。
  3. 黒部ダムの観光放水は毎秒10トン以上の水が霧状になり、観覧ステージまで低い轟音が届く。虹を待つ人々の静けさと水の勢いの差が印象に残った。
  4. 黒部ダムレストハウスは窓いっぱいにダムを望み、黒部湖を表す緑色の黒部ダムカレーを味わえる。轟音の直後に食器の音へ戻る落差が、妙に心地よかった。
  5. 関電トンネルでは、黒部ダム建設を支えた山越えの交通の記憶に触れられる。外の白い水煙から暗い通路へ移ると、音が壁の内側へ沈むように感じられた。
  6. 黒部平駅の屋上展望台からは黒部湖や後立山連峰を見渡せる。乗り物の気配が薄い高所で、風が岩肌をなでる音だけが急に近くなり、旅の終わりが見えた。
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