LoqiRoam · 旅日記
海へ出る前に、もう一度曲がる
児島の産業史、ジーンズ文化、港町の路地を経て、鷲羽山の瀬戸内景観へ抜ける旅。
児島駅を出たときは、ジーンズの町を歩けば十分だと思っていた。けれど最初に旧野﨑家住宅の門を見て、町の芯には塩田と新田開発の時間があると知る。そこからジーンズストリートのL字の通りへ折れ、店先の青や工房の気配を眺めた。旧郵便局の隣のカフェでは、藍を思わせる色の甘いものと少し変わったお茶で、歩く速度を落とす。気分が整ったところでバスに乗り、下津井へ。回船問屋の建物、瓦屋根、坂、港。道は観光案内の線より細く、曲がるたびに船待ちの生活がにじんだ。最後は鷲羽山へ上がった。瀬戸大橋を見下ろすと、さっきまでの路地が海辺の小さな折り目に見える。まっすぐ来なくてよかった。
この旅の足跡
- 大きな門をくぐると、児島がジーンズだけの町ではないと分かる。塩田と新田開発で築かれた邸宅の静けさに、少し背筋が伸びた。
- 約400メートルの通りがL字に折れ、店先のデニムが道の色まで変えている。服を買わなくても、産地が街路になっている感じが面白い。
- 旧味野郵便局の隣を改装した奥に、思いがけずテラスがひらける。青いスイーツと鴛鴦茶の組み合わせは、児島の藍を甘く飲むようで気になった。
- 港に近づくほど道幅がゆるみ、明治の回船問屋を復元した建物に船の往来が重なって見える。資料館なのに、潮の匂いが展示より先に来た。
- 本瓦の屋根、土蔵、坂の先の港。保存地区を歩くと、観光地というより船を待っていた生活の路地に見えてくる。どの角で海が現れるか、つい遠回りした。
- 山頂へ出ると、瀬戸大橋が海の上で細く連なり、さっきまでいた港町が急に小さくなる。夕景で名高い場所らしいが、昼の青さも少しずるい。