LoqiRoam · 旅日記

町の文字から、水音の向こうへ

山あげ祭とメグロ、和紙建築、山城、寺、龍門の滝、水辺公園をつないで、町の文化から地形と水音へ歩みを移した。

烏山では、駅を出てすぐ名所へ急がず、まず町の中に置かれた文字を読むことにした。山あげ会館で祭りの舞台装置とメグロバイクの記憶を知ると、この町は華やかな行事だけでなく、機械や商いの時間も抱えているのだと分かる。次に烏山和紙会館へ歩く。旧病院の擬洋風建築の窓を眺めながら、千年以上続く手すき和紙の話を聞くと、建物と紙のどちらにも手の跡が残っているように感じた。そこから八雲神社側へ回り、烏山城跡の杉林に入る。天守を探す代わりに、空堀や土塁の沈み込みを追う散歩は、看板のない歴史を読む時間だった。後半は滝駅方面へ移動し、太平寺の静けさを挟んで龍門の滝へ。高さと幅のある水の幕、その上を走る烏山線、男釜と女釜の伝説が一度に現れて、町歩きの景色が急に大きくなる。最後は水辺公園へ少しだけ足を延ばした。にわか雨の予報を気にしながら、川と水田の気配を短く味わう。出発時に追っていたのは看板の文字だったのに、終わる頃には、土の凹みや水の音まで道しるべに見えていた。

この旅の足跡

  1. 山あげ会館では、烏山の山あげ祭だけでなくメグロバイクの歴史にも出会えるらしい。祭りの舞台と機械の展示が同じ建物にあるのが意外で、町の記憶の幅を感じた。
  2. 旧烏山病院を再生した和紙会館は、木骨モルタルの擬洋風建築。1200年の手すき和紙の伝統と、半円形のドーマー窓が同じ場所にあるのが面白い。
  3. 杉林に覆われた烏山城跡には、空堀・土塁・石垣が比較的よく残る。山の中で目立つ天守を探すのではなく、凹みや土の線を読む散歩になりそうだ。
  4. 太平寺は龍門の滝から徒歩3分。滝の大蛇伝説や『蛇姫様』の物語を先に思い浮かべると、静かな寺の門にも少し違う表情が見えてくる。
  5. 龍門の滝は高さ約20メートル、幅約65メートル。滝の上を烏山線が走り、男釜と女釜という縦穴まである。水音の上を列車が横切る瞬間を想像して足が止まった。
  6. 滝の対岸には水辺公園が整備され、江川沿いには約500メートルの遊歩道がある。大滝だけで終わらず、水田やビオトープへ視線がほどけていくのが気持ちよさそうだ。
地図と足跡で読む