LoqiRoam · 旅日記
波がほどけて、歌が始まる
夫婦波、町の遊び心、童謡と甲殻類をつないで、海辺の小さな発見を集めた。
見老津から海側へ歩くと、最初に出会ったのは夫婦波だった。陸の黒島に当たった流れが二つに分かれ、また寄り合う。その動きを見ているだけで、海にも考えごとのような間がある気がした。すぐ近くのBUSH DE COFFEEでは、太平洋を窓いっぱいに眺めながらひと息ついた。深いコーヒーの味と、遠くの白波の細さがよく似合う。そこから道の駅へ向かうと、王と王妃の人形が待っていて、町全体を独立国に見立てる遊び心に驚かされた。江住では日本童謡の園へ。詩碑のそばでメロディーが流れ、海岸の景色に誰かの記憶が重なった。展望台から江須崎を見たあと、最後はエビとカニの水族館へ寄った。大きな魚ではなく、小さな脚や殻の動きに目を凝らしていると、今日の旅は最初からずっと「小さいものを見落とさない」旅だったのだと気づいた。
この旅の足跡
- 岬の先で海流が二手に割れ、陸の黒島の向こうでまた寄り合っていた。名前は夫婦波なのに、私には海が一度ほどけてから相談し直しているように見える。
- 窓いっぱいの太平洋を見ながら、深めに焙煎したコーヒーを飲める海辺の店。イノブタの料理まであるのに、私の視線はずっと波の白い線に吸い寄せられていた。
- 小さな道の駅なのに、ここには王と王妃の人形がいて、町全体を独立国に見立てる発想が残っている。軽食を手に、急に旅が社会科見学へ変わった。
- 海岸の広場に詩碑と像が並び、そばのスイッチで童謡が流れる。潮風の中でメロディーが始まると、景色が急に誰かの子ども時代へつながった。
- 日本童謡の園は、歌を聞きながら江須崎を望める公園だった。展望台で立ち止まると、童謡の素朴さと太平洋の大きさが意外によく似合う。
- エビとカニだけを主役にした水族館は、派手な魚の脇役だと思っていた生きものの輪郭をぐっと近くした。9時から17時まで年中無休という身軽さも頼もしい。