LoqiRoam · 旅日記

湖の風、舞台の奈落、空の轟音

小川原湖の水辺から寺山修司の舞台空間、湖の民俗資料、三沢の航空機、中心街の食と図書館まで、音の変化を手がかりに旅した。

乙供を出たとき、旅の行き先はまだ水面の向こうにぼんやりしていた。小川原湖公園では、遊歩道の木々と湖の風が別々の速度で鳴っていた。そこから三沢へ向かうと、寺山修司記念館の引き出しや奈落の展示が、静けさそのものを舞台装置に変えていく。隣の歴史民俗資料館では、湖は美しい背景ではなく、漁具や農具や生きものの記憶を抱えた生活の場所になった。航空科学館で屋外の機体を見上げた瞬間、耳の奥にまだない離陸音が生まれた。最後は街のピッツァと図書館。大きな空の音を日常の話し声へ戻し、拾った風景をページの余白にそっと置いて帰った。

この旅の足跡

  1. 遊歩道の木々の間から湖面がひらけ、風が水と葉を別々に鳴らしている。湖畔の千本桜は季節を越えて、道の記憶として残っているのだろうか。
  2. 懐中電灯で机の引き出しを開ける展示に、見ることより探すことを促される。舞台の奈落まで想像できる空間で、静けさが急に演出へ変わった。
  3. 小川原湖の動植物の剥製や漁具、農具が並び、湖が景色ではなく生活の道具として見えてくる。大きなヘラブナの存在感には少し驚いた。
  4. 屋外に日米の軍用機やジェット機、プロペラ機が並び、風を受ける機体の輪郭が展示室より雄弁だった。音のない飛行機を前に、離陸音を想像した。
  5. 基地正面ゲートに近い商業施設で、英語の看板と人の往来が街の背景音になる。薄い生地のピッツァを頬張ると、旅が急に日常の温度へ戻った。
  6. 夜まで開く図書館には、貸出のための本だけでなく語りの会や図書館カフェの予定もある。街のざわめきを一冊の余白へしまうように、旅を閉じた。
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