LoqiRoam · 旅日記

音の薄い方へ

商店街、神社、古い道標、新川、緑地をつなぎ、町の静けさが人の営みの余白として現れる過程を記録した。

京成大和田を出たとき、旅は駅前の生活音から始まった。大和田駅通り商店会では、店の並びと空き店舗の間に、この町が日々使われてきた時間を感じた。小板橋時平神社へ入ると、近いはずの道路が遠のき、短い参拝の動作だけが残った。そこから高本入口の庚申塔を訪ねると、1749年の道標が、昔の人々もここで進路を選んでいたことを静かに示していた。新川沿いでは視界が開け、歩いてきた距離が水面の向こうへほどけた。最後の村上緑地公園では、散歩道が樹木の中へ消えていく。静けさは無音ではなく、商い、祈り、移動、風の音が順番に薄くなっていく状態なのだと思った。

この旅の足跡

  1. 大和田駅通り商店会は昭和39年設立で、空き店舗もある商店街だった。賑わいより、店と店の間に残る生活の間隔が気になった。
  2. 小板橋時平神社の境内に入ると、駅に近い場所なのに車の音が一段遠くなった。派手な建物ではないぶん、参拝の動作だけが静かに浮かぶ。
  3. 高本入口の庚申塔は1749年建立で、道標も兼ねていた。刻まれた行き先を読むと、今の道路が突然、昔の旅人の分岐点に見えてくる。
  4. 新川沿いでは、住宅地の密度がほどけて空と水の幅が増した。名所らしい演出はないのに、歩いてきた距離を身体で確かめられる景色だった。
  5. 村上緑地公園は約10万平方メートルの敷地に散歩道と多様な樹木がある。広さより、道が森の中へ吸い込まれる感じに惹かれた。
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