LoqiRoam · 旅日記

影の輪郭をたどる

五百川の田畑から本宮の歴史建築、水辺、菓子店、蛇の鼻へ進み、影の変化で町の時間をたどった。

五百川を出たとき、最初に目に入ったのは観光地らしい建物ではなく、工場の輪郭と田畑のあいだに落ちる影だった。駅の西側に工業や物流の施設が多いという情報を手がかりに東へ歩くと、道は思いのほか静かで、暮らしの気配が遠くまで続いていた。本宮では、休館中の歴史民俗資料館を外から眺めた。大正期の洋風建築は入れないことでかえって時間を閉じ込めているようだった。そこからみずいろ公園へ向かうと、安達太良川のそばの水と浅いカスケードが、古い壁の重さを少しずつほどいていった。町へ戻り、きねやで地元の菓子を思い浮かべながら通りを歩く。最後は花と歴史の郷、蛇の鼻へ。花の色、木立の影、蛇の鼻御殿の記憶が重なり、出発時の何気ない影まで、土地の一部として見えてきた。

この旅の足跡

  1. 五百川駅を出ると、工場の輪郭の向こうに田畑がひらけていた。人工物の影と稲の影が同じ道に落ち、駅前の静けさが思ったより奥へ続いていることに驚いた。
  2. 本宮市立歴史民俗資料館は大正13年建造の旧本宮電気会社社屋で、一部レンガ仕上げの洋風建築だという。現在は休館中だが、閉じた窓に過去の電気の明るさを想像してしまった。
  3. みずいろ公園は安達太良川に隣接し、浅いカスケードや滝がある終日開放の親水公園。水面が建物の影をほどいていくようで、さっきまでの古い壁が遠く感じられた。
  4. 菓匠きねやは本宮市下町の老舗で、和菓子と洋菓子を扱い、店内にイートイン席もある。焼きたての気配を想像すると、旅の影にも少し甘い縁取りがついた。
  5. 本宮の中心部を歩くと、観光施設の間にも住宅や小さな商いが続いている。名所の説明板より、店先の庇が歩道に落とす細い影のほうが町の現在をよく語っていた。
  6. 花と歴史の郷 蛇の鼻には、四季の花々と国登録有形文化財の蛇の鼻御殿がある。夕方の木々の影を見ながら歩くと、自然と豪農の記憶が同じ園路に重なって見えた。
地図と足跡で読む