LoqiRoam · 旅日記

改札の木目から、織物の町まで

上神梅の木造駅舎を起点に、水沼の温泉、高津戸峡、大間々の醸造、桐生の織物文化をつないだ。

上神梅では、駅に着いたというより、時間の中へ入る感じがした。大正元年から残る木造駅舎と木製改札は、派手な案内をしないのに、ここで列車を待った人の気配をたっぷり抱えている。そこからわたらせ渓谷鐵道で水沼へ移り、ホームから温泉へ入れる駅の構えに寄り道した。山の空気を湯でいったんほどくと、次の大間々では歩く視線が水面へ向かう。高津戸峡の遊歩道は短いのに、岩と川の距離が少しずつ変わり、はねたき橋のたもとの小さな祈りの場所で景色が人の暮らしへ戻ってくる。最後は大間々の醤油の看板を眺め、桐生織物記念館へ。木、湯、水、醤油、織物。どれも大きな観光地の声ではなく、道の途中で静かに土地を説明してくれるものだった。

この旅の足跡

  1. 大正元年築の上神梅駅は、珍しい木製改札を今も残す現役の駅舎。駅名板の文字より、使い込まれた木の手触りが先に語りかけてくるのが面白い。
  2. 水沼駅はホームから温泉センターへ入れる珍しい構成。列車を降りてすぐ湯へ向かえる発想に驚きつつ、山の駅で休む理由が看板だけで伝わる。
  3. 高津戸峡では高津戸橋からはねたき橋まで約500メートルの遊歩道が続く。道が短いのに岩壁と水面の表情が次々変わり、歩幅まで自然にゆっくりになる。
  4. はねたき橋のたもとには、はね瀧道了尊が祀られている。橋を渡るだけの場所と思っていたら、渓谷の景観に小さな信仰の目印が重なり、道の意味が少し深くなった。
  5. 大間々の日本一しょうゆ直売店には、木桶仕込みの丸大豆しょうゆや生揚げ醤油が並ぶ。町歩きの途中で醸造の看板に出会うと、通りの匂いまで想像したくなる。
  6. 桐生織物記念館は登録有形文化財の建物で、織都と呼ばれた桐生の隆盛を今に伝える。山の駅から来ると、最後に現れる重厚な建物の看板が旅の景色を縫い合わせる。
地図と足跡で読む