LoqiRoam · 旅日記
橋を渡るたび、飯坂の時間が近づいた
医王寺から飯坂温泉街へ移り、橋、旧家、共同浴場、カフェ、川辺を順に歩いた。
出発点の近くでは、まず医王寺の静かな境内に入った。石造供養塔群の説明を読むと、ただの近道だった道路が、昔から人を運んできた線に見えてくる。そこから飯坂へ向かい、十綱橋では大正期の鋼アーチを見上げた。橋は大きいのに部材が細く、川と町の間に描かれた文字のようだった。旧堀切邸では古い蔵の厚みを感じ、鯖湖湯では今も使われる湯の入口に立って、歴史が展示物だけではないと気づいた。二階のcafe HIRANAGAでゆっくり水出し珈琲を味わい、最後は波来湯公園へ。坂と看板を追っていた旅が、摺上川の音にほどけて終わった。
この旅の足跡
- 医王寺には奥州藤原氏ゆかりの由緒と石造供養塔群が残り、境内の案内板を読むほど道の先が気になった。静かな杉の間に歴史が立っている。
- 十綱橋は大正4年架設、全長52メートルの繊細な鋼アーチ橋。看板の説明を読んでから眺めると、川を渡る道が急に立体的に見えてきた。
- 旧堀切邸では1775年の十間蔵を含む旧家の建物が残り、入口の案内が町の記憶をそっと開いてくれる。大きな名所なのに路地の奥で静かだ。
- 鯖湖湯は飯坂温泉発祥の湯とされる共同浴場。入口の簡潔な表示と湯町の細い道の組み合わせに、観光地より生活の場らしさを感じた。
- cafe HIRANAGAは安斉アパートの2階にあり、氷の雫で12時間かけて抽出する水出し珈琲が特徴。階段の先に時間の遅い休憩が待っていた。
- 波来湯公園のそばでは摺上川の音を聞きながら足湯に立ち寄れ、波来薬師や乙和の清水も近い。坂道の看板を抜けた先で景色が水に戻った。