LoqiRoam · 旅日記
風、松、地面の記憶
海の明るさ、松原の木陰、地面に残る古代の記憶をたどり、最後は湯ノ浦で旅を身体に戻した。
伊予桜井駅を出たときは、まず海を見ようとだけ決めていた。桜井海浜ふれあい広場では、白い砂浜とやしの木が思いのほか明るく、瀬戸内の海が少し南国めいて見えた。そこから志島ヶ原へ折れると、松の香りと木陰が急に深くなる。海と松原が近いという単純な距離の中に、最初の発見があった。次に訪ねた国分寺の塔跡では、建物よりも地面の静けさが印象に残った。見えない塔を想像していると、旅は景色を見るものから時間を読むものへ変わっていく。朝倉ふるさと美術古墳館で古墳と美術を同じ町の記憶として眺め、最後は湯ノ浦温泉へ。三つ目の発見は、土地の物語を集めたあと、温泉と食事で自分の感覚までゆるむことだった。
この旅の足跡
- 白い砂浜にやしの木が並び、海岸に緩やかな護岸が続く。南国のようなのに、波の向こうは瀬戸内。泳がず眺めるだけでも旅が始まる感じがした。
- 松の間に梅林と綱敷天満宮がある志島ヶ原。海辺の明るさから数分で木陰へ入れる落差に驚き、昔の人もこの風の変化を楽しんだのか気になった。
- 国分寺の塔跡は、観光の大きな建物ではなく、地面に残る古代の手がかりだった。第59番札所の寺と近く、見えない塔を想像する時間が意外に長く続いた。
- 朝倉ふるさと美術古墳館は、古墳と美術が同じ寄り道に収まる不思議な場所。駅から南西へ少し外れるぶん、旅が観光名所巡りから地域の暮らし探しに変わった。
- 湯ノ浦温泉の四季の湯ビア工房は、温泉だけでなく11時から夜まで食事もできる。旅の終着を景色にせず、温かさと一皿にするのもいいなと思った。