LoqiRoam · 旅日記

山の入口で影を待つ

西野尻の農地からSL公園、藤原岳登山口、文化施設、薪窯のカフェを経て、梅林の見晴らし台へ。影の変化で藤原の時間をたどる旅。

西野尻では、駅の名前より先に、畦と線路のあいだに落ちた細い影を見つけた。集落を抜けて西藤原へ向かうと、SL公園の黒い車体が山の入口に置かれていて、鉄道が運んできた時間と、動かずに立つ山の時間が重なった。藤原岳には登らず、大貝戸登山口で杉の影が濃くなるところまで歩いた。暑さのある日に、無理に奥へ進まないことも旅の判断になる。その後、文化センターの展示と図書室で外の緑をいったん静かな室内へ移し、薪窯のパンと珈琲で身体を休めた。終着の梅林公園では、花ではなく斜面の線と鈴鹿の山並みを眺めた。遠くへ来たというより、同じ光が農地、鉄、木陰、紙、湯気、山肌へ姿を変えるのを見届けた午後だった。

この旅の足跡

  1. 西野尻駅の周囲には農地と小さな集落が広がり、駅舎より先に線路と畦の影が目に入る。名もない道なのに、山の向きだけははっきりしていた。
  2. 西藤原駅前のSL公園では、実物の鉄道車両が山の入口に置かれている。黒い車体の影が線路の細い光と重なり、移動の道具が風景の一部になっていた。
  3. 藤原岳大貝戸登山口は標高156メートルで、休憩所やトイレも備える山歩きの入口。今日は登頂せず、杉の影が道に落ちる手前で山の大きさを測った。
  4. 藤原文化センターは展示コーナーや図書室を備え、地域の文化と生涯学習を受け止める場所。外の山影から入ると、紙の白さまで静かに見えた。
  5. カフェアタントは薪窯の焼きたてパンとサイフォン珈琲を掲げる藤原町の喫茶店。木の香りのする一杯を待つ間、外の緑が少し近くなった。
  6. いなべ市農業公園の梅林公園は38ヘクタールの広がりを持ち、見晴らし台から斜面を見下ろせる。花のない季節にも、畝の影と鈴鹿の山並みが残る。
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