LoqiRoam · 旅日記
水辺から町の余白へ
河佐峡から府中市街へ進み、文化財、味噌、古代遺跡、地域の食と木工、山裾の神社をつないだ旅。
河佐を出て最初に向かったのは、駅の周りに留まる散歩ではなく、山と川がひらく河佐峡だった。夢吊橋と八田原ダムの景色を見ていると、出発点は小さくても旅の入口はずいぶん広い。府中の中心へ移ると、恋しきの古い建物に香り袋作りのような今の楽しみが重なっていた。浅野味噌では、町の歴史が食卓の発酵へ続いていることを知り、さらに備後国府跡では、長い時間の遺構と、まだ見つかっていない国庁の空白に立ち止まった。道の駅で府中味噌や木工の現在を味わい、最後は府中八幡神社へ。賑わいから山裾の静けさへ移る道筋そのものが、今日の三つの発見――水辺の広がり、味に残る記憶、見えないものを想像する余白――になった。
この旅の足跡
- 河佐峡では川遊びや釣りだけでなく、八田原ダムの遊歩道や夢吊橋まで景色が続く。駅前の小さな出発が、思ったより大きな水辺の旅に変わりそうで驚いた。
- 恋しきは登録有形文化財の建物を一般公開し、庭園や香り袋作りも楽しめる。古い料亭の中に今の体験が息づいていて、建物が眠っていないことに心が弾んだ。
- 浅野味噌は府中町で120年続く味噌づくりの店で、府中味噌や発酵食品を扱う。白味噌の土地に赤味噌の気配も重なり、味噌にも町の気候が映るのかと考えた。
- 備後国府跡は8世紀から12世紀の遺構が残る国指定史跡で、国庁そのものはまだ見つかっていない。見つかったものより、空白が想像を広げる場所だった。
- 道の駅びんご府中は府中味噌や木工製品、府中焼きが集まり、家具を使った心地よいレストランもある。遺跡の町が、今度は買う・食べる場所として現れた。
- 府中八幡神社は八ツ尾山の東南麓にあり、府中公園から文芸の小径で参道へ入れる。古い本殿の部材が残る境内では、町の近くなのに足音が遠くなった。