LoqiRoam · 旅日記
水路から太鼓、山の風へ
瀬戸川の水音を起点に、酒蔵、祭り、匠の木仕事、寺と川、図書館へ音の記憶をつないだ。
飛驒細江を出て、まずは飛驒古川の水路を目指した。瀬戸川と白壁土蔵の間では、鯉の影が音の代わりに町の時間を知らせてくれる。そこから酒蔵へ進むと、発酵という見えない仕事が通りの奥に息づいていた。祭り会館では起し太鼓の記憶に触れ、静かな展示室の中でかえって大きな響きを想像した。匠の道具を眺めたあと、荒城川と寺の欄干のそばで歩みをゆるめる。最後は図書館のある町へ戻り、本のページをめくるように旅を閉じた。遠くへ移動したわけではないのに、水、木、太鼓、川、文字が順番に現れて、町全体がひとつの楽器のように感じられた。
この旅の足跡
- 瀬戸川沿いには白壁土蔵と黒格子の町家が続き、鯉の影が水面を横切る。観光地なのに、耳を澄ますと暮らしの水音が先に届いた。
- 明治期創業の渡辺酒造店は、古川の町家に酒の時間を重ねている。杉玉の下で、見えない発酵の音を想像してしまった。
- 飛騨古川まつり会館は、古川祭の屋台と起し太鼓の記憶を屋内に抱えている。今は静かな展示室ほど、音が大きく想像された。
- 飛騨の匠文化館では、木を扱う技術が建物だけでなく道具の形にも残る。木の匂いを思い浮かべると、太鼓の胴も急に身近になった。
- 真宗寺の赤い欄干と荒城川の組み合わせは、古川の町に水平方向の余白をつくっている。寺の静けさに川音が細く重なった。
- 飛騨市図書館は古川町本町にあり、遅い時間まで開く日もある。旅の最後に本のページ音を置くと、町歩きの記憶が静かに整理された。