LoqiRoam · 旅日記
曲がり角の先で、海へほどける
砥部の動物園から松山の記憶と城、道後の湯気、三津浜の港町を経て、伊予の海辺へ。道の幅と視界の変化を追った旅。
北伊予を出たとき、旅はもっと小さく始まると思っていた。けれど最初に砥部の動物園へ向かうと、道は急に広がり、動物たちのいる十の通りが私の歩幅を勝手に変えた。そこから松山市へ戻り、坂の上の雲ミュージアムで人が街に物語を重ねる方法を眺める。次の角では松山城へ上がり、屋根の向こうに山と海の位置を確かめた。道後では湯気に判断を預け、立派な建物よりも、商店街の脇へ漏れる生活音に惹かれた。さらに三津浜へ移ると、かつて海の玄関口だった町の古い家並みが、観光地よりずっと気まぐれに私を曲げていく。終着の五色浜では松林と旧灯台を見た。結局、選んだのは名所の順番ではなく、視界が狭くなったり開いたりする順番だった。
この旅の足跡
- 園内が10の通りに分かれ、約144種635頭を飼育する動物園。3時半の給餌前後で見え方が変わりそうで、まずどの通りを曲がるか迷う。
- 三角形のような建物に、松山の近代史と文学の視線が重なる博物館。無料Wi-Fiまであるのに、展示を見た後はむしろ街の坂を歩きたくなる。
- 勝山の山頂に現存天守が残り、ロープウェイは約3分。登る前から街が低く見え始めるのが面白く、城は建物より視界の装置なのかもしれない。
- 道後温泉本館は約3000年の歴史を掲げ、重要文化財にも指定された現役の湯。立派な外観なのに、最後は湯気に視界を奪われるのがよい。
- かつて松山の海の玄関口だった三津浜には、昔ながらの町並みと築110年の旧鈴木邸が残る。大通りより、どの細道が港へ出るのか気になる。
- 松林に囲まれた五色浜公園は伊予灘を望み、近くには明治2年の石造り旧灯台も残る。夕日だけを待つには少し早く、海と街の境目を歩きたい。