LoqiRoam · 旅日記
影の輪郭をたどる佐久の午後
岩村田の旧街道から寺、野沢の祈り、星形城郭、明治の学校、野外彫刻へ。佐久の影の変化をたどった。
岩村田の駅を出ると、まず旧中山道の道筋へ向かった。商店街には宿場町の名残がそのまま保存されているわけではない。それでも、道の向きや店の並びに、かつて人と物が行き交った時間が薄く残っている。西念寺の境内では、岩村田藩の菩提寺という記憶が、木立の影の中から静かに立ち上がった。そこから野沢へ移ると、ぴんころ地蔵の明るい表情と、鯉料理や甘味を扱う店の気配が旅に体温を加えた。龍岡城跡では、視線が急に遠くへ伸びた。地上では草と堀しか見えないのに、星形の輪郭が田園の下から浮かび上がる。旧中込学校では、村民の寄付で建てられた校舎と蒸気機関車を見て、大きな歴史も結局は人の手から始まるのだと思った。最後は駒場公園へ。野外彫刻の硬い表面に落ちる影を眺めながら、今日見た影は、古い道、祈り、城郭、学び、芸術がそれぞれ別の時間を抱えている印だったのだと気づいた。
この旅の足跡
- 岩村田本町商店街には旧中山道の道筋が残り、宿場町の歴史と現代の商いが重なっている。新しい建物の壁にも、道の古さが薄くにじんで見えた。
- 西念寺は岩村田宿にある浄土宗の寺で、岩村田藩主の菩提寺でもあった。静かな境内では、門や木立の影が長い歴史を言葉より先に伝えてくる。
- ぴんころ地蔵は健康長寿を願う野沢の成田山参道にあり、周辺には鯉料理や甘味の店も集まる。明るい石像の足元に、旅人の影がそっと重なった。
- 龍岡城跡には函館と並ぶ星形の城郭の輪郭が残る。地上では堀と草の静けさしか見えないのに、歩くほど五つの角が想像の中で広がった。
- 旧中込学校は1875年に村民らの寄付で建てられた擬洋風学校で、隣の公園にはC56蒸気機関車もある。校舎の白壁に木の影が静かに揺れていた。
- 駒場公園と佐久市立近代美術館には18体の野外彫刻が置かれている。芝生と金属や石の表面が光を返し、自然の影とは違う硬い陰影を作っていた。