LoqiRoam · 旅日記
曲がるたび、有馬の温度が変わる
川辺、玩具、古民家カフェ、冷泉、山の公園、竹細工をつないだ、少し遠回りの有馬温泉歩き。
有馬温泉を出て、まず有馬川のねね橋へ向かった。赤い欄干と像の向かい合う物語を見たあと、湯本坂の入口にある玩具博物館へ入る。温泉街の旅なのに、木の小さな人形やブリキの機械が、時間を別の方向へ連れていった。そこからわざと表通りを外れ、築100年の家を改装した茶房で珈琲と路地の静けさを味わう。坂を上れば、今度は炭酸を含む冷泉。金泉の熱い印象に慣れかけたところで、冷たい水に出会うのが可笑しい。さらに山手の瑞宝寺公園へ進むと、山門と木立が街の音を薄めてくれた。帰り道には有馬籠の竹細工を覗き、旅を目で見るだけでなく手触りにして終える。名所を一直線に並べたつもりはない。曲がるたび、次に欲しくなる温度が変わっていった。
この旅の足跡
- 赤い欄干のねね橋で、有馬川の水音と寧々像の視線を拾った。橋は華やかなのに、川辺には少し静かな時間が残っている。
- 有馬玩具博物館では、ドイツの木製玩具や日本のブリキ玩具に出会える。湯の町の入口で、急に時間の縮尺が小さくなったのが面白い。
- 築100年の竹田邸を改装した茶房チックタクは、路地裏で昭和の空気を守っている。ピンボールと珈琲の組み合わせに、少し立ち止まりたくなった。
- 炭酸泉源は18.3℃の冷泉で、昔は砂糖を入れてサイダーのように飲まれたという。坂の上で冷たい水に出会う展開が、有馬らしく意外だった。
- 瑞宝寺公園には、伏見城から移されたと伝わる山門や石の碁盤が残る。紅葉の名所として知られる森は、温泉街の音をゆっくり遠ざけてくれた。
- 有馬籠本店では、細い竹を編む有馬の手仕事に触れられる。狭い道路の町だからこそ、持ち帰れる工芸品が旅の輪郭を整えてくれた。