LoqiRoam · 旅日記
河口の明るさがほどけるまで
殿町の緑から多摩川、川崎大師、浮島、東扇島へ移り、暮らしと港の光の変化を追った。
小島新田から歩き出すと、最初に見えたのは大きな名所ではなく、殿町の住宅と施設の間に残る小さな緑だった。そこから多摩川へ出ると、道の硬さがほどけ、雲の影だけが水面を静かに横切っていった。川崎大師では門前の影に入り、河口の風とは違う、積み重なった時間の冷たさを感じた。住吉で久寿餅を少し休み、甘さを携えて浮島へ向かう。海風の森では草の揺れが工場の輪郭を隠し、最後に東扇島の人工海浜で、夕方の光が岸壁と水を同じ薄い色にした。歩くほど景色が派手になるのではなく、川、参道、草、海の順に、光の速度だけが変わっていった。
この旅の足跡
- 殿町第3公園は住宅と研究施設のあいだにあり、子どもが走れる広さがある。静かな緑なのに、背後の建物の白さで空が少し硬く見えた。
- 多摩川緑地の大師河原地区には河川敷の散策路が続く。水面は広いのに音が少なく、雲の切れ目だけが流れより速く動いて見えた。
- 川崎大師平間寺は厄除けの寺として親しまれ、海中から引き揚げられた弘法大師像の由来を持つ。門の影に入ると、川辺とは別の時間が現れた。
- 山門前の住吉は大正6年創業で、久寿餅を8時30分から17時まで扱う。黒蜜の艶は短い休憩にも濃く、通りの白い日差しを吸い込んでいた。
- 浮島町公園は川崎区市民健康の森でもあり、海風の森として緑を残している。工場の線の手前で草が揺れ、海側だけ光の色が薄かった。
- 東扇島東公園には人工海浜があり、駐車場は5時から20時30分まで利用できる。海に向いた岸で、夕方の反射が工場の輪郭を柔らかくした。