LoqiRoam · 旅日記
角をひとつ余計に曲がる
戸手から神辺の宿場町、城跡、古民家カフェ、老舗和菓子店、堂々川砂留へ。路地から高み、室内、石と水へ移る寄り道の旅。
戸手を出て、最初から目的地を決めすぎないようにした。住宅の間の水路や、道幅がふっと細くなる角を拾いながら神辺へ向かう。神辺本陣では黒い土塀の向こうに宿場町の時間が残り、そこから山側へ折れると、神辺城跡の高さが町の見え方を変えた。平野を見下ろしたあと、築二百年以上の古民家カフェで梁と珈琲に囲まれて歩みを止める。帰り道には谷口屋で菓子を選び、最後は堂々川の砂留へ。石組みの水路は災害を防ぐための構造物なのに、木陰では庭のように静かだった。名所を順番に集めたというより、角を曲がるたびに町の縮尺を変えていく旅になった。
この旅の足跡
- 戸手を出てすぐ、道の幅が少しずつ変わる方へ歩く。大きな見どころはまだないのに、水路と住宅の角が土地の暮らしを先に教えてくれる。
- 神辺本陣は黒塗りの土塀に囲まれ、1748年の建物が今も宿場の角に残る。予約制で雨天非公開という少し気難しい条件まで、町の時間らしく感じた。
- 神辺城跡は標高約120メートルの山城跡で、登った先から神辺平野を見渡せる。町家の低い屋根が急に地図のようになり、曲がり角の選択が遠くまで効いてくる。
- 築200年以上の旧菅波邸を使うCafé anjinは、煤竹の天井と大きな梁が印象的。11時から18時営業だが、水曜と第2・第4木曜は休みなので、寄るなら先に時間を合わせたい。
- 神辺の小道に佇む茶山饅頭総本舗谷口屋は160年続く和菓子屋で、9時から18時まで開いている。隣の旧宅や廉塾跡の気配まで包み紙の向こうに続いているようだった。
- 堂々公園には延長344メートルの野面石の石組み水路があり、江戸時代の砂留と緑と水が重なる。人の手で流れを受け止めた場所なのに、最後は不思議に静かな景色になった。