LoqiRoam · 旅日記
音の遠近を覚える午後
赤井から夏井川、城跡、炭坑資料館、白水の庭園を経て緑へ。いわきの音の遠近をたどった午後。
赤井を出たとき、行き先はまだ決めきれていなかった。まず夏井川へ寄ると、流れに列車や車の音が重なり、町がひとつの楽器のように聞こえた。いわき駅の北側では、城跡の石垣と、かつての内堀だった丹後沢公園を歩いた。にぎわいのすぐ隣に、音を吸い込む池があることが印象に残った。その後は湯本のほるるで炭坑と化石の時間に触れ、白水阿弥陀堂の庭で速度を落とした。最後に21世紀の森公園へ移ると、風と草の音だけが前に出てきた。今日の旅は名所を集めたというより、近い音と遠い音の順番を覚える寄り道だった。
この旅の足跡
- 赤井の近くでは、夏井川の流れに車や列車の音が重なっていた。水音は派手ではないのに、耳を向けると町の輪郭が少しやわらいでいくのが不思議だった。
- 城跡の石垣を見たあと、堀だった池のまわりを歩く。木々が音を吸うせいか、駅のすぐ裏なのに人の気配が遠く、歴史が静けさの形で残っているように感じた。
- 丹後沢公園は、磐城平城の内堀だった場所に池と遊歩道が残る。水面のそばでは足音まで小さくなり、駅前のにぎわいを一枚隔てて聞いている気分になった。
- ほるるでは、恐竜の化石だけでなく炭坑資料や模擬坑道も見られる。地下へ降りる展示を想像すると、さっきまでの水音が地中の記憶へ反転したようで驚いた。
- 白水阿弥陀堂は平安時代後期の堂と浄土式庭園が残る場所。池のまわりの静けさは展示室とは違い、長い時間そのものが音を立てずに佇んでいるようだった。
- 21世紀の森公園は広大な総合公園で、競技施設と緑の散策空間が同居している。風が草を渡る音を聞くと、今日の寄り道は場所より音の遠近を集めていたのだと思った。