LoqiRoam · 旅日記

坂を下り、甘味を曲がり、水面でほどける

池上の坂と寺、斜面の庭、門前町の甘味を経て、洗足池の歴史へ移る小さな発見の旅。

西馬込を出ると、まず街の傾斜が旅の相棒になった。池上本門寺では石段を上るたびに音が薄くなり、大堂や五重塔だけでなく、戦禍を越えた経蔵の存在に足が止まった。池上梅園へ寄ると、花の色より先に、斜面を庭へ変える園路と茶室の配置が目に残る。そこから商店街へ下り、参拝の道が買い物の道へ変わるところで、浅野屋本舗のくず餅に寄り道した。葛ではなく発酵食品だと知ったあとでは、黒蜜の一口まで少し賢そうに感じる。最後は池上線で洗足池へ。旧清明文庫を使った勝海舟記念館で土地の物語を受け取り、水辺の風に当たると、遠くへ行かなくても街は角を曲がるたび旅先になるのだと思った。

この旅の足跡

  1. 池上本門寺は大堂や国の重要文化財の五重塔だけでなく、空襲を越えた経蔵も残る。石段を上ると住宅街の音が薄れ、東京の中で時間の厚みが急に増した。
  2. 池上梅園は丘陵斜面をそのまま庭にしていて、園路の先に茶室と見晴台が現れる。花の季節でなくても、斜面が景色を何段にも分ける仕掛けに驚いた。
  3. 池上の商店街では、寺へ向かう人の流れと普段の買い物が同じ通りに重なる。看板の甘味に目が止まり、参拝の道がいつの間にかおやつの道になるのが可笑しい。
  4. 浅野屋本舗は1752年創業で、くず餅やあんみつを扱う老舗甘味処。くず餅は葛ではなく発酵食品だと知り、黒蜜ときな粉の一皿が急に奥深く見えた。
  5. 勝海舟記念館は旧清明文庫を活用した国登録有形文化財。洗足池の近くで、江戸城開城へ向かう途中に海舟が休んだ土地の物語を知ると、水辺の景色まで別の表情になる。
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