LoqiRoam · 旅日記
行き止まりの先で
城下町の商家と酒蔵を歩き、植物の庭と横山のハーブパークへ景色を切り替えた。
大多喜駅の座標を出発点にしたが、最初から駅前に居座る気はなかった。久保の通りへ曲がると、格子戸や土ひさしの低い軒が目に入り、城下町は大きな史跡よりも、曲がり角ごとの建物の厚みで残っているのだと思った。嘉永の渡辺家住宅を外から眺め、旧釜屋では土蔵が店舗として使われていたことに立ち止まる。そこから豊乃鶴酒造へ向かうと、保存された町並みが今も酒をつくる場所へ自然につながった。最後は少し乗り物で横山方面へ出て、植物の苑とハーブパークへ。人の商いから植物の使い道へ景色がほどけ、行き止まりの小さな公園で旅を閉じた。遠回りだったが、今日はそのほうが大多喜らしかった。
この旅の足跡
- 格子戸と土ひさしを備えた商家が、普通の通りの角にすっと残っている。大きな看板より、軒下の低さのほうが昔の商いを近く感じさせた。
- 嘉永2年の渡辺家住宅は、格子戸の向こうに大商家の間取りを想像させる。中へ入れないぶん、閉じた建物が通りの時間を濃くしている気がした。
- 旧釜屋は明治初期の土蔵造りなのに、かつて店舗として使われていた。庭の稲荷まで含めると、建物が倉庫ではなく暮らしの舞台だったと分かる。
- 新丁の豊乃鶴酒造は、江戸時代から続く造り酒屋として町の時間を今も発酵させている。酒蔵の前では、通りの静けさまで少し甘く感じられた。
- 大多喜有用植物苑は、温室や外庭だけでなく食堂とショップまで植物の使い道を横に並べている。薬草が展示物で終わらず、昼食の気配に変わるのが面白い。
- 横山の大多喜町ハーブパークは常時開放で、季節のセージやバーベナが農道の先に広がる。通り抜けできない小さな場所なのに、行き止まりが終着らしくて気に入った。