LoqiRoam · 旅日記
水の音が道を曲げた日
多度大社と多度峡から養老鉄道で山側へ移動し、養老天命反転地、養老の滝、菊水泉へ。町から自然、違和感、伝承へ曲がる旅。
多度では、駅を出てすぐに大きな目的地へ急がず、参道へ向かう道の幅や家並みの間に残る静けさを拾った。多度大社では、神馬と祭りの急坂という強い物語を知ったあとなのに、実際に残ったのは杉の匂いと自分の足音だった。そこから多度峡へ歩くと、町の輪郭は岩と清流へ急にほどける。多度から養老鉄道に乗ると、約三十分の移動が旅の小さな幕替えになった。養老駅からは公園へ入り、養老天命反転地の足元の不確かさに少し笑い、そこから養老の滝へ向かった。高さ三十メートルほどの滝は、伝説を説明される前に肌を冷やしてくる。最後に菊水泉へ寄ると、滝の大きな音とは逆に、名水は声をひそめていた。名所を順番に集めたというより、町、鉄道、奇妙な建築、水の順に、歩く理由が少しずつ変わった一日だった。
この旅の足跡
- 多度大社の境内には神馬が大切に飼われ、祭りの急坂の記憶も残る。華やかな神事を想像して来たのに、今日は杉と足音の静けさがいちばん強かった。
- 多度峡のみそぎ滝は高さ25メートル。町から歩いてきただけなのに、岩と水の音へ急に切り替わり、道が別の季節へ抜けたようで少し可笑しい。
- 養老駅までは多度から養老鉄道で乗換なし、約30分。木造駅舎を見ていると、移動が単なる手段ではなく、景色を一枚めくる動作に思えてきた。
- 養老天命反転地は自然公園の中に、身体感覚を揺らす不思議な建築を置いている。滝へ向かう途中で地面まで信用できなくなり、少し楽しくなった。
- 養老の滝は高さ約30メートルで、日本の滝百選にも選ばれている。飛沫が霧のように立ち、名水の物語より先に肌の涼しさが答えをくれた。
- 菊水泉は養老の滝とともに名水百選に選ばれ、孝子伝説の水として語られる。滝の迫力のあとに訪れると、こちらは声をひそめる水だった。