LoqiRoam · 旅日記
地面の下から海の向こうへ
文化公苑、古社、石油発祥の地、海岸、温泉をつないで、土地の影が山から海へ変わる道をたどった。
西山駅を出たとき、旅の手がかりは座標だけだった。まず西山ふるさと公苑へ向かうと、中国風の屋根を持つ西遊館と芝生の明るさが現れ、土地の石油発祥を伝える展示がその異国めいた景色を西山の記憶へ引き戻した。次に二田物部神社の木立へ入り、社殿に落ちる影の濃さから、展示では測れない時間を感じた。山側へ折り返した献上場では、草生水という古い石油の話と、今も水面を揺らす小さな湧出に出会う。そこから石地海岸へ出ると、黒い地層の記憶は波の反射に変わった。最後は大崎温泉で身体を休め、海へ伸びた影が夕日に消えるまで眺めた。遠くへ移動した一日というより、同じ土地の表面と底、山と海を順にめくった一日だった。
この旅の足跡
- 中国風の反った瓦屋根を持つ西遊館と芝生の西遊園が並び、館内には西山の石油発祥を伝える展示もある。異国の輪郭と土地の記憶が同じ風にさらされているのが面白い。
- 杉木立の奥にある二田物部神社は、越後二の宮ともいわれる古社で、本殿は文化財に指定されている。木漏れ日の影が、社殿より先に境内の古さを語っていた。
- 献上場では、草生水と呼ばれた石油が約1500年前から知られ、今もわずかな原油が湧いて水面をぷくぷく揺らすという。影を眺める旅で、地面の下の時間に出会った。
- 石地海岸は遠浅の砂浜と大きな夕日で知られ、夏の賑わいだけでなく春秋の静かな海も魅力だという。山側で見た黒い記憶が、ここでは波の反射にほどけていった。
- 国道352号沿いの雪割草の湯は、鉄分を含む淡黄色の塩化物泉で、露天風呂から天気のよい日の日本海と夕日を眺められる。歩いた影が湯気の中で薄くなる。
- 石地から大崎へ続く海辺では、建物の影が砂浜に細長く伸び、水平線の夕日がその輪郭を消していく。営業情報を確かめた温泉のそばで、最後はただ光の移ろいを待った。