LoqiRoam · 旅日記

橋を渡るつもりが、町に引き止められた

公園、神社、渡し跡、商店街、水辺、鳥居をつなぎ、羽田の日常と旅の気配を拾った。

大鳥居を出たときは、多摩川の風だけ拾って帰るつもりだった。けれど最初の角で、萩中公園に置かれた蒸気機関車や都電が目に入り、羽田の時間は飛行機だけでは測れないと気づいた。羽田神社では空の安全を願う祈りに触れ、羽田の渡し跡では、橋ができる前の人の往来を想像した。商店街では羽田プリンの休憩に予定を曲げられ、そこから多摩川スカイブリッジへ出ると、川と工場と飛行機が急に大きな景色になった。最後は穴守稲荷神社の鳥居をくぐった。近道を選ばなかったせいで、町の記憶、甘さ、風、祈りの順番が生まれた。曲がり角は道を迷わせるものではなく、景色の見え方を決めるものらしい。

この旅の足跡

  1. 萩中公園の通称「ガラクタ公園」には、蒸気機関車や都電、消防車まで展示されている。遊具の歓声の隣で車両を眺めると、町の記憶が急に立体的になった。
  2. 羽田神社は羽田全域から空港までを氏子地域とし、航空安全の祈願も受けている。境内の羽田富士を見つけた瞬間、空港の町が少し山のある町に変わった。
  3. 羽田の渡し跡は、かつて羽田と川崎を結んだ生活の渡し場だった。今は石碑が静かに立つだけなのに、橋ができる前の往来を想像すると川幅まで違って見える。
  4. 穴守稲荷駅近くのBookCafe羽月では、羽田プリンを味わいながら店内の本を無料で読める。空港へ急ぐ人の町で、予定を甘い休憩に曲げられるのが可笑しい。
  5. 多摩川スカイブリッジは羽田と川崎を歩いてつなぐ橋で、周辺では飛行機と川と工業地帯が一枚に収まる。橋を渡るより欄干の向こうを眺める時間が長くなった。
  6. 穴守稲荷神社には赤い鳥居の連なりと奥之宮があり、羽田の土地の移転や信仰の歴史を背負っている。角を曲がるたび境内の奥行きが増し、終着なのに少し迷う。
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