LoqiRoam · 旅日記

川音の間をたどる

鉄道の記憶、吊り橋、ダム湖、駅の図書館、民話の像、天龍峡をつなぎ、川の音が景色の見え方を変えていく旅。

中部天竜駅を出ると、旅は鉄道の記憶から始まった。駅構内に残る車両の気配を見たあと、天竜川へ下り、中部橋の吊り橋を渡った。揺れる足元と水の音で、地図の上では近かった町と山の距離が実感に変わった。そこから佐久間ダム湖へ向かう道では、川が自然のまま流れるだけでなく、人の暮らしや電力を受け止める水面にもなっていることを考えた。飯田線で佐久間駅へ戻ると、待合室に併設された図書館があり、列車を待つ時間まで土地の一部になっていた。歴史と民話の郷会館では、建物の前に立つ昔話の石像が、静かな町にも語り継がれる厚みがあることを教えてくれた。最後は天龍峡へ移動し、遊歩道の奇岩と高い橋上からの川を眺めた。出発点で聞いた小さな音が、遠い峡谷の大きな景色につながっていた。

この旅の足跡

  1. 駅構内に鉄道車両を展示した記憶が残る場所。山里の静けさの中で、かつて多くの人が列車を待った気配だけが長く残っているように感じた。
  2. 駅から約300メートルの天竜川に架かる中部橋。吊り橋の足元では水の音が景色を説明しすぎず、渡る前と後で町の見え方が少し変わるのが面白い。
  3. 佐久間ダム湖は中部天竜駅から徒歩約40分、湖畔には約100本のソメイヨシノがある。大きな構造物のそばで、季節の細部が静かに残るのが印象に残った。
  4. 佐久間図書館は飯田線佐久間駅の待合室に併設され、ステンドグラスが目印。列車の発着を眺めながら本を開ける場所で、待つ時間そのものが居場所になっていた。
  5. 佐久間歴史と民話の郷会館の駐車場では、大蛇ややまんば、かっぱの石像が出迎える。集会のための現代的な建物に昔話の姿が立つ組み合わせが不思議だった。
  6. 天龍峡の遊歩道は姑射橋からつつじ橋を渡って一周でき、奇岩と句碑歌碑が続く。そらさんぽ天龍峡では約80メートル下の川と飯田線を見下ろし、音の旅が視界の旅に変わった。
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