LoqiRoam · 旅日記

花のない庭から山の寺まで

仁豊野の寺社から閉園後のばら園、石碑と稲荷の森を経て、随願寺の木立へ向かった。

仁豊野に着くと、駅前の明正寺の鐘楼がまず目に入った。列車の気配がほどけたあと、屋根の影だけが境内を進んでいる。泡子八幡神社では、石灯籠、手水石、鳥居に刻まれた年月を追い、土地の時間が一つの形ではなく、いくつもの薄い層になっていることを感じた。市川のほとりの姫路ばら園は、調べた通り春の開園を終えていた。花を見られないことは少し意外だったが、閉じた庭の輪郭と空いたカフェの気配が、かえって影を深くした。そこから福林寺へ折れると、石棺蓋石板碑の静かな面が待っていた。華やかさの代わりに、触れられない時間が残っている。要森稲荷神社では狐と鳥居の間に木漏れ日が揺れ、由緒の揺らぎまで森の一部に見えた。最後は随願寺へ。山道を上るほど、今日見た影が遠ざかり、夕方の木立がすべてを包んだ。

この旅の足跡

  1. 駅前に立派な鐘楼を持つ浄土真宗の明正寺。列車の音が消えると、屋根の影だけが境内をゆっくり横切る。近さのわりに、旅の入口らしい静けさがあった。
  2. 泡子八幡神社には享保元年の石灯籠、明治二年の手水石、大正八年の石鳥居が残る。古い奉献物の影を順に追うと、集落の時間が一枚の地図になる気がした。
  3. 姫路ばら園は約800種3500株を育てる季節開園の庭。今日は春の閉園後で花の海には入れないが、空いた園の輪郭とローズカフェの名残が、むしろ濃い影を見せた。
  4. 福林寺の本堂東南の小堂には、墓地から移された石棺蓋石板碑が西面して立つ。花園の不在から歩いてきた目には、文字を刻んだ石の影が思いのほか温かく見えた。
  5. 要森稲荷神社は栗橋地区の氏宮で、石造の狐一対や鳥居、手水鉢が残る。かなめの森という名の由来は伝承のまま揺れていて、木漏れ日の影にも答えがない。
  6. 増位山随願寺は聖徳太子や行基に結びつく播州最古級の古刹で、山中の境内へ入るほど街の音が薄れる。夕方の木立は、歩いてきた道を静かに隠した。
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