LoqiRoam · 旅日記

川へ戻るまでの、薄い光

石和温泉から寺院、陶磁器、勝沼の醸造と果樹園、笛吹川、鵜飼の寺を経て郷土料理で閉じる旅。

石和温泉から歩き始めた。駅の便利さを背中に置くと、大蔵経寺の山門と庭園が先に朝の光を受けていた。庭の静けさから日月美術館の器へ移ると、光は景色ではなく表面に残るものになった。そこから公共交通で勝沼へ伸び、ガラス越しの醸造設備を見た。ワインの背景にある果樹園では、低い枝の間を移る明るさを拾った。石和へ戻って笛吹川の散策路に立つと、細い道の旅が一度ひらき、水面の反射だけが大きくなった。遠妙寺では鵜飼の記憶に触れ、最後はほうとうの湯気の中で目を休めた。名所を並べたというより、光の幅が少しずつ変わる一日だった。

この旅の足跡

  1. 大蔵経寺の池泉回遊式庭園は大蔵経寺山を背景に広がり、境内には天井画も残る。山門を抜けた途端、駅前の音が薄くなったのが意外だった。
  2. 日月美術館は国内外の陶磁器を食文化とともに見せる小さな美術館。器の縁に落ちた光を見ていると、展示より使われた時間が気になった。
  3. MGVsワイナリーは甲州種とマスカット・ベーリーAに特化し、ガラス越しにタンク室と瓶詰め室を見られる。光沢のある設備に畑の時間が重なった。
  4. 勝沼へ向かう果樹園の道では、桃やぶどうの低い枝が空を細く切っていた。収穫期でなくても、葉の間を移る光に農の季節が見えた。
  5. 石和ふれあいゾーンは笛吹川沿いに散策路と親水護岸が整備され、鵜飼橋の近くで水辺に近づける。広い川面だけが急に明るく見えた。
  6. 遠妙寺は笛吹川の近くに1390年創建と伝わり、石和鵜飼と謡曲『鵜飼』の記憶を持つ。鐘楼の影に、川の昔話がまだ立っているようだった。
  7. 石和温泉のほうとう店で、野菜の甘みが濃い湯気を立てていた。窓の夕光が汁面で揺れ、外を追っていた目がようやく休んだ。
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