LoqiRoam · 旅日記

影は海から足元へ

海越しの山影から町の記憶、港の食、水郷、古墳、植物の葉影へ。視線が少しずつ近づく氷見の小旅行。

免田を出ると、道は海の明るさへ向かってほどけていった。比美乃江公園では、魚見やぐらを思わせる展望台から富山湾を眺め、遠い山並みと足元の柵の影を重ねた。中央町へ入ると、潮風ギャラリーの格子や展示の余白が、景色を眺める旅から記憶を読む旅へ変えていく。港のひみ番屋街では魚の匂いと湯気に包まれ、軒下の影に一度立ち止まった。午後は十二町潟の水面と葦影へ逃れ、古墳の丘でさらに古い時間を見下ろした。最後に海浜植物園の温室へ入り、葉が床に落とす小さな地図を眺める。大きな風景を探して始めたのに、終わりに残ったのは、光の中で揺れる足元の輪郭だった。

この旅の足跡

  1. 比美乃江公園の展望台は魚見やぐらとヨットを思わせ、晴れれば海越しに立山連峰を望める。風で揺れる場所に立つと、影まで波打つようだった。
  2. 中央町の潮風ギャラリーは午前10時から午後5時まで開館し、町家の格子越しに藤子不二雄Ⓐの記憶が見える。明るい展示ほど、細い影が残った。
  3. ひみ番屋街は鮮魚・物販が8時30分から、飲食施設が11時から営業する港の市場。湯気と魚の気配が軒下に集まり、影の中がいちばん落ち着いた。
  4. 十二町潟水郷公園は大伴家持ゆかりの布勢の水海を伝え、オニバス池や水生植物を観察できる。葦の影が水面でほどけ、湿地全体が呼吸していた。
  5. 柳田布尾山古墳は富山県内最大の古墳で、日本海側最大級の前方後方墳。斜面に落ちる木の影を見ていると、海を見張った時間がまだ地面に残る気がした。
  6. 氷見市海浜植物園は9時から17時まで開園し、夏休み期間は休園しない。温室の葉影が床に小さな地図を描き、遠景を探した目が足元へ戻ってきた。
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